教育情報誌 学びのチカラ e-na!! vol.1 (小学校版)
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英語教科の視点 市の中心街にあり,米海軍横須賀基地に隣接する本校には,多様なバックグラウンドをもつ子どもたちが在籍しています。米国,フィリピン,中国,中東の国など,外国につながる子どもは約4割に上ります。学区外から通学している子どもの割合は約3分の1と市内で最も多いことも特徴です。居住地域,慣れ親しんだ生活・言語・文化など,様々な環境で育ってきた子どもたちが学校生活を共にしています。子どもたちには,多様性を認め合い,高め合う関係を築きながら学ぶ力が一層求められます。 互いを認め合える関係を築く基盤となるのは学級・学年経営です。本校では「すわふわ」を合言葉に,望ましいコミュニケーションを通して互いのよさを認め合う取り組みをしています。「すわふわ」とは,学校名の「すわ」と,心が軽やかになる優しい言葉がけや態度の意味をこめた「ふわ」の2文字からなる,本校オリジナルの言葉です。先生は「すわふわ」な関わりはどうあるべきかを様々な場面で子どもたちに考えさせ,実践させています。昨年度の学校評価児童アンケートでは,全校児童の約92%が「友だちに優しく接している」と回答しました。「すわふわ」が浸透してきていることがわかります。よりよい関わりを育む「すわふわ」コミュニケーション 様々な地域や環境で育ってきた本校の子どもたちは,他校に比べて就学前の共通体験が少ない中で入学してきます。1年生には5月の連休頃まで「スタートカリキュラム」を実施し,先生やクラスメート,学校生活や授業に段階的に慣れていけるようにします。 例えば,「国際教室」では,個に応じた日本語指導や学習指導に加え,ガイダンス,面談の通訳や学級通信の翻訳を行い,学校生活への理解と適応を支援します。様々な言語環境にある保護者のため,学校評価保護者アンケートは多言語対応(英語,タガログ語,中国語,日本語にはルビふり)で行います。また,欠席連絡をメールでも行えるようにしています。 市内3校に設置されている「ことばの教室」も本校で重要な役割を担っています。在籍校で自信をもって活動できるよう,言葉,聴覚,発音,コミュニケーションの学習をします。子どもたちは一生懸命言葉を発し,思いを伝えようとします。気持ちを伝えようとする意欲や態度を価値づけていくことも大切です。 多様な性自認,多様な家族のかたちを人権感覚をもって理解させることも重要です。本校では保健指導の一環として養護教諭が講話を行ったり,啓発活動をしている方々のお話を聞く機会を設けたりしています。 小学校での外国語教育の必修化は,多様な他者との豊かな関わりを身につけさせるチャンスです。相手意識をもった“Good Communicator”を育てる外国語教育神奈川県横須賀市立諏す訪わ小学校校長 黒くろ川かわ 理り美み教室の掲示物から。友だちのよいところを書いたハート型の葉をたくさん茂らせた「すわふわの木」多様な教育的ニーズに応える教育活動教育活動全体で育む「認め合い高め合う関係を築く力」多様性を認め合い,共に学び共に育つ学校をめざして~学校として,また外国語教育を通した取り組み~22現代的な教育課題とこれからの授業デザインー教科の視点 英語特集

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