「子どもが主役」の授業デザイン教科の視点 算数特集の視点教科 子どもが「主役」の授業と言われたなら、どのような授業を思い浮かべるでしょうか。こうした言い方をすると、私たちは同じような授業をイメージするように思われますが、実はそうではありません。 ある先生は、教師が目的ややるべきことを丁寧に説明し、しっかりと環境を整えたうえで、子どもが目的に向かって主体的に取り組んでいる授業を想像したかもしれません。 また別の先生は、よく考え抜かれた教材で強い「問題意識」を生み、子どもが意欲的にその問題の解決に向かって臨んでいる授業を想像したかもしれません。 はたまた、子どもが自ら「やりたいこと」を決め、これまでに学んだことを生かして、そこに向かって追究し続けるような授業を思い浮かべた方もいるでしょう。 これらは、いずれも子どもが「主体的」であることには変わりがありませんが、学びの質としては大きく違っています。それは、学びの過程において子どもに委ねられている部分の範囲が大きく違うからです。 近年、目標・目的の設定や、学習内容の選択も含め、できるだけ子どもに委ねる部分を大きくした授業を試みようとする動きが出てきました。それは、こうした授業こそが、「自ら課題を発見し、他者と協働しながらそれを解決していく力」を真に育むことができるのではないかと考えられているからです。 こうした授業は、理想的には「よさそうだ」と感じる一方、自分の学級で実現することはなかなか難しいと感じる先生も多いと思います。高学年であればまだしも、低学年の児童が対象であればなおさらです。 しかし、子どもが「やりたいこと(目的)」を自ら設定して追究したり、追究の仕方を工夫したりするような授業は、「はてな?」「なるほど!」「だっ12ー子どもが「主役」の授業とは低学年から取り組む、子どもが主役の授業たら!?」の授業構成を意識することで、1学年であっても、十分に実現していくことが可能になるのです。 実際の例を通してお話ししたいと思います。第1学年「かたちあそび」の学習場面です。 これらを黒板に貼ったうえで、授業の初めに、子どもたちに「ピタりんシルエットクイズをしよう。」と提案しました。子どもたちからは「え、ピタりんって何?」などといった声があがります。 そんな声を聞きながら『ルール:おなじかたちをつかう』と板書し、例として直角三角形を2枚提示しました。すると、子どもたちからは「ピタりんの意味がわかったかも!」などといった声があがりました。そこで、一人の子どもを指名すると、一方の直角三角形を裏返しにし、斜辺にあたる部分をぴたりとくっつけたのです。 「なるほど!」「意味がわかった!」といった声が多くの子どもたちからあがる一方、「違う考え!」という意見も出てきました。 そこで、一度、上記の図形が「ピタりん」であることを認めたうえで、ルールに『おなじながさのところを、せ中あわせにする』と追記しました。そして、背中合わせの辺の部分を赤く色付けし、『うらがえす』と板書しました。 すると、「裏返さなくてもできるよ!」と、先ほど「違う考え!」と言った子どもたちが、意見を言(1)「はてな?」を生む 子どもたちは前時までに、お菓子の箱の面を写し取り、いくつかの形を抽出していました。「はてな?」「なるほど!」「だったら!?」をつないでつくる子どもが主役の算数の授業北海道札幌市立真駒内桜山小学校教諭 瀧たきヶが平ひら 悠ゆう史し算数
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