「子どもが主役」の授業デザイン教科の視点 算数特集わせてほしいと訴え始めました。 一人の子どもを指名すると、今度は一方の直角三角形をくるりと回転させ、短い辺どうしでぴたりとつなげたのです。 「ああ!本当だ!」「ピタりんになってる!」 このように、学級全体に「ピタりん」の意味が浸透してきたタイミングを見計らって、「この形では、2種類のピタりんができるんだね。」と、全体に投げかけます。すると、「そう!」という声と同時に「まだできると思うよ!」という意見が出てきました。中には、この発言を聞いて「え!?」と驚きの表情を浮かべ、早速考え始める子どももいました。子どもたちの中に、「この形を使って、他にどんなピタりんができるのかな。」という、「はてな?」が生まれた瞬間です。どの形を何枚使って、どうやって作ったでしょう?どの形を何枚使って、どうやって作ったでしょう?と、他の形の場合でも考えてみようと子どもたちが動き出したのです。 また、互いにクイズを出し合う中で、「だったら、私ももう少し難しい問題にしてみよう。」「その形を使うと、こんなピタりんができるんだ。」「私も、同じようにおもしろい形(左右対称)を作ってみようかな。」と、友だちの考えを取り入れて、更に工夫する子どもが続々と現れてきました。 また、次の時間には2種類以上の形を組み合わせた問題作りに取り組もうとする子どもも出てきました。こうした姿は、「はてな?」「なるほど!」「だったら!?」というプロセスが連続的に発生していると捉えることができます。 このように、「はてな?」「なるほど!」「だったら!?」を授業構成に生かしていくことで、たとえ1学年であっても、子どもが「やりたいこと(目的)」を自ら設定して追究したり、追究の仕方を工夫したりするような授業を実現することができます。 こうした授業では、まさに子どもたちが「主役」となり、そのストーリーをどう紡いでいくのかを、自分自身で決めていくことができるのです。どの形を何枚使って、どうやって作ったでしょう?どの形を何枚使って、どうやって作ったでしょう?13ー(3)子どもに委ねる 「では、他の形も使って、ピタりんシルエットクイズを友だちとやってみましょう。」 子どもたちは、自分でピタりんを作る図形を選び、それぞれにクイズを考え始めました。 「もっと難しい問題を作りたいな。」「3枚とか4枚使ったら、もっと難しくなるかも。」「おもしろい形(左右対称)ができたよ!」「こうすれば(いくつかの角を合成すると)、おもしろい問題になる!」 早速、自分が考えるおもしろいクイズを作ろうと工夫する子どもが多く出てきました。(2)「なるほど!」から「だったら!?」へ ここで、子どもたちに直角三角形を2枚ずつ配り、個々にピタりんを探す時間を取りました。すると、どの子どもも強い問題意識のもと、主体的に追究していったのです。 その途中、子どもが発見した新しいピタりんのシルエットを取り上げ、拡大器とテレビを使って学級全体に提示しました。 「そうそう!それ、私も今見つけた!」「え?それ、どうやって作ったの?」「あ、わかった!できたよ!」 どの子どもも、友だちが発見したピタりんのシルエットをもとにその作り方を推測し、それを再現しようと動き出したのです。このように、他者の考え方を再現して「なるほど!」と納得する姿は、自らの考えを深める子どもの姿といえます。 ここまでの学びは、子どもが強い問題意識をもち、主体的に取り組んでいると捉えることができます。しかし、追究する対象が限定的で、子どもに委ねられた学びとまではいえません。 そこで、このタイミングで、次のように全体に投げかけるのです。 「1つの形でこんなにたくさんのピタりんが作れるんだね。」 これを聞いた子どもたちからは、「他の形でも作ってみたい!」「いろいろなピタりんができそう!」といった声があがり始めました。 直角三角形での学びをもとに、「だったら!?」
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