教育情報誌 学びのチカラ e-na!! vol.3 (小学校版)
11/36

「子どもが主役」の授業デザイン 2教科の視点 社会特集各種災害への対策について調べたことを、個人でまとめている画面の上部に他の児童の編集状況がリアルタイムで表示される写真を使ったりすることが簡単にできます。要素を繰り返し移動させたり、消したり増やしたりできることも、児童の思考を促します。各地の自然災害の対策を調べるときには、比較しやすいように以下のようなマトリクスを背景に入れました。紙のワークシートと同じように、児童の実態や学習内容に合わせた工夫が必要です。 また、関係する資料の画像やヒントとなるキーワードを入れておくことも有効です。調べたりまとめたりすることが苦手な児童も、そのヒントを手がかりにして教科書を使って調べたり、キーワードや画像資料を並び替えてまとめたりしていました。ヒントの中に無関係な資料を入れておくのもよいでしょう。暖かい気候の沖縄県の学習では、じゃがいもなどの画像も加え、「この資料は必要?暖かい地域の作物じゃなさそうだよ。」「調べてみたら、寒い地域で育つようだから沖縄の特産物じゃないみたいだよ。」などと調べたことを根拠にしながら、使う資料を判断するようになりました。 このとき、共同編集機能を活用し、児童が必要なタイミングで他の児童の考えを参考にできるようにしました。写真や図を中心にまとめたり、文章を中心に表現したり、自分にとってわかりやすい方法を参考にして、まとめていました。A児の振り返り(スライドB)※紙幅の都合上、一部を掲載 Googleスライドを児童に個別配付して、児童の毎時間の振り返りを単元を通して蓄積しました。授業内で使った資料やホワイトボード、板書などの画像も添付することで、前時や単元の学習を思い出しやすくなります。紙での「振り返り用紙」も用意して児童のわかりやすさに応じてデジタルと紙を選べるようにしました。下に例示した「自然災害とともに生きる」単元では、地域ごと、災害ごとの対策が結びつき、理解を深めていました。 (1)~(3)のような活用はいずれも「児童」が主役であり、児童の学習を広げる手段です。1人1台のタブレットPC環境で児童の学習が広がれば、今まで以上に一人一人のわかりやすさに合った授業づくりができるようになると思います。 この実践を取り入れたある先生が、児童のスライドやホワイトボードを見て、「あの子もこんなふうに考えていたんだね。今まで気づかなかった。」と話していました。1人1台のタブレットPC環境を生かした学習の可能性を感じる一言です。 本稿が、先生方の授業づくりの役に立てば幸いです。11(3)振り返りにより学習を深める「スライドB」おわりにー

元のページ  ../index.html#11

このブックを見る