「子どもが主役」の授業デザイン 2教科の視点 英語の視点教科特集5年生と6年生の教科書を並べて教材研究 2021年の4月、教職22年目にして外国語専科に。早速、教材研究のために、『ONE WORLD Smiles』のもくじを眺めていました。「さぁ、この1年でどんな実践をしようかなぁ。何かおもしろいことはできないかなぁ。」外国語科の授業者として至福の時間ですよね。小学校を卒業するまでに、外国語科でどんな力をつけさせたらよいかを考える時間でもあります。 真っ先に頭に浮かんだアイデアが、5年生のLesson 6「Where do you want to go?」(行ってみたい都道府県を伝えよう)と6年生のLesson 5「What country do you want to visit?」(行きたい国)での異学年交流です。今回は、この異学年交流の実践を中心に、授業者としての腕の見せどころを5つ紹介したいと思います。 本実践では、5年生は行きたい都道府県の魅力をアピールし、6年生は行きたい国の魅力をアピールする「Go Toトラベル」のキャンペーンCMをつくり、互いに視聴しました。子どもたちが真剣にCMを撮影する姿や、笑顔を見せつつ恥ずかしそうに完成したCMを見る姿が印象的でした。本誌で子どもたちの生き生きとした姿をお見せすることができないのが残念です。 外国語科は、今回のように最終課題に向けて仲間と取り組むプロジェクト型の実践活動を設けることによって、授業がダイナミックになり、子どもたちがより主体的に学ぶことができる素敵な教科だと思います。大切にしたいのは、授業の向こう側にある教師の思いや願いです。単に“Where do you want to go?”や“What country do you want to visit?”の表現が言えるようになることが目的ではなく、この単元を通じて、5年生には、「6年生ってすごいな。」6年生には、「5年生には負けられない。」と互いに刺激しあいながら、相手意識をもってCMづくりに取り組んでほしいと考えました。活動。※2:コミュニケーションや、言語・文化について思考を促すコーナー。20もくじを眺めて教材研究授業の向こう側にある思いや願い子どもたちとともに授業をつくる<授業者としての腕の見せどころ その1>~教科書をどう使うのか ①~ 教科書のそのままの流れで、授業を進めることは可能です。それだけでもかなり魅力的な授業になると思います。ですが、目の前の子どもたちの実態に合わせて授業を工夫していくことも私たちの仕事であり、醍醐味でもあると考えています。 プロジェクト型の実践を行う場合は、授業の時間の大部分を子どもたちに委ねます。相談の時間、練習の時間、撮影の時間、振り返りの時間などです。では、教科書をどのように扱っていけばよいのでしょうか。本プロジェクトの場合は、各授業の前半の時間で教科書にあるLet’s Listen※1やLet’s Think※2などの一部に取り組みました。教科書に授業を合わせるのではなく、授業(プロジェクト)を充実させるために教科書を活用するというイメージです。※1:各単元にかかわるさまざまな内容を聞き取り、確認する<授業者としての腕の見せどころ その2>~教科書をどう使うのか ②~ 例えば、5年生の名所・名物マップ(教科書pp.72-75)の活用法として、各時間の授業の最初にクイズをしました。最初は、私やALTがデモンストレーションとして、それぞれの行きたい都道府県がどこかを当てるなどのクイズを出題します。そして、単元が進むにつれて、子どもたちからクイズをー子どもたちとともにつくる授業~「Go To トラベル」のCMづくりの実践から~大阪府岸和田市立城内小学校教諭 宮みや田た 学がく英語
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