教育情報誌 学びのチカラ e-na!! vol.3 (小学校版)
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「子どもが主役」の授業デザイン 2教科の視点 英語特集出題させるようにしました。単元末には、外国語に苦手意識のある子どもでも、グループ内でのクイズの出題ならできるようになりました。この「外国語に苦手意識のある子どもができるようになること」が、とても大切だと考えています。単元を終えた6年生の感想として外国語活動の実践をしているときは、子どもたちの気づきに驚き、がんばりを励まし、できたことを子どもたちと喜びあっていればよかったのですが、教科となるとそういうわけにもいかないようです。  しかし、前提は変わりません。評価するためではなく、子どもたちに言葉(英語)の力をつけるために授業実践を行い、その力がついたかどうかを評価するのです。そのために、特に重視したいのは、授業中の行動観察です。CMを視聴する相手のことを意識して、内容や表現方法を考えているかということです。プロジェクトの結果よりも、その出来上がる過程を大切に評価しています。もちろん、振り返りが大切であることは言うまでもありません。 授業者として、子どもたちに授業の主導権を委ねるということには、多少なりとも不安が伴います。「本当に、子どもたちに委ねてしまって大丈夫か」「時間は足りるのか」「あの学びに向かいにくい子どもはどう動くか」など、さまざまな不安が頭をよぎります。学びに主体的になるということは、子どもたち自身が学ぶ楽しさを体感して、生涯にわたって外国語を学んでいこうとする態度に繋がっていくと考えています。また、この学びの楽しさをさまざまな教科で味わうことが、真の生きる力に繋がっていくと思います。 まずは、目の前の子どもを信じる。これが子どもが主役の授業づくりへの第一歩になるのではないでしょうか。21●各学年のCMを視聴した子どもたちの感想5年生のCMを視聴した6年生の感想6年生のCMを視聴した5年生のワークシート(左)と感想(右)目の前の子どもを信じる<授業者としての腕の見せどころ その3>~はじめ良ければすべてよし?~ 単元の導入で、子どもたちの心を鷲づかみできるかどうかで、その後の子どもたちのモチベーションが変わってきます。今回のプロジェクトでは、外国語専科である私とALTがつくったCMを子どもたちに見せることから始めました。  とにかく二人(私とALT)が楽しそうにCMに出演している様子を見てもらうことが目的でした。「先生~、これまじで俺らもするん?はよやろ~!」と予想以上に子どもたちは食いつきました。<授業者としての腕の見せどころ その4>~グループでCMを作成する意味~ グループで何かをさせると、必ず意見の違いが生まれます。まず、どこの県や国のCMをつくるかで意見が対立することもあります。でも静かに見守ります。「どうやってグループ内で納得解を生み出していくのか」「グループ内の心理的安全性は確保されているか」という視点で見て回ります。普段からペア学習・協働学習に慣れているクラスであれば、意見の違いは大きな問題にはなりません。プロジェクトが子どもたちにとって魅力的であれば、小さな課題は乗り越えられます。今回の実践では、都道府県や国の魅力をアピールするという明確な目的があることが最重要だと思います。<授業者としての腕の見せどころ その5>~何をどのように評価するのか~ 「どうやって評価していますか。」とよく聞かれます。前提として、子どもたちを評価するために授業をしているわけではないということです。担任ー

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