教育情報誌 学びのチカラ e-na!! vol.3 (小学校版)
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「子どもが主役」の授業デザイン 2教科の視点 書写の視点教科ー8特集❸基準の確認❹自己批正(自分の課題設定:試し書きと基準を比べて、 昭和33年の学習指導要領の改訂で国語科の中に「書写」が位置づけられ、「毛筆による書写の学習は書くことの指導の一環として行うものであるから、その学習によって文字の筆順や字形をよく記憶するのに役立ち、文字や文を硬筆で書写することにも正しく、美しく書けるようにすることがたいせつである。」と記されました。「書写」の学習は、整った字形、望ましい筆順で、平仮名や片仮名、漢字をそれぞれ書こうとする態度を育成すること、整った字形で文字を書くための原理・原則を見つけ、それを生活文字(ノート等に書く文字)に反映させていく態度を育成することを目的としています。64年間、書写がねらう指導内容は大きく変わっていません。 書写の学習は試し書きと基準を比べ、児童が自分のふだんの文字の書き方に課題を見つけ、その課題解決に向けて練習方法を学び、めあてに向かって取り組んでいきます。つまり、この書写の学習の流れが「課題解決学習」そのものなのです。今回の指導要領の改訂で、「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善が求められています。そこで、書写の学習において「主体的・対話的で深い学び」「課題解決学習」を実現するために私が心がけていることを紹介します。 主な授業の流れを以下に示しました。 図1の教材文字は、「筆順と字形の関係を理解し、字形を整えて書くことができる」ようにすることを目標としています。「一画めは短く書く」「二画めは長く書く」「はらいの方向に注意してゆっくりはらう」などといった書字のポイントがあります。「❸基準の確認」では、教師がこれらを教えるのではなく、児童が基準のどこを見ればよいのか、ヒントを示しながら、課題が見つかるように視点を与え、めあてに即して指導していきます。 「手本を見て書きましょう。」という指示で、学習させるのではなく、「❹自己批正」で気づかせたいポイントについて思考させ、対話のなかで児童自身が気づき、自分の課題を見つけることができてこそ、課題解決学習に向けて主体的に取り組み始められるのです。 毛筆指導は毛筆で、ただ上手に書けるようにすることがねらいではありません。硬筆指導以上に点画のつながりを意識させ、筆使いをわかりやすく理解させることができるため、硬筆指導で見落としがちなポイントを毛筆指導ではおさえることができるのです。 しかし、ふだん使い慣れていない毛筆を、正しい筆使いで字形を整えて書くことは難しいものです。図1の教材文字はあくまで「字形を整えるのに筆順が大切だ」ということを理解することが目的であると意識させましょう。 「❺練習」や「❻まとめ書き」をするときなど、話し合いや友達どうしの学び合いを取り入れ、主図1 教材文字❶めあての確認(「基準の確認」のあとになるときも)❷試し書き(硬筆・毛筆)(基準⦅教材文字⦆を見ないで❺練習(個人・ペア・グループ)❻まとめ書き(硬筆・毛筆)❼振り返り(自己評価・相互評価)❽まとめ 日常生活に生かす (他の文字でも同様の原理・原則があるのか確かめていく)書くこと)自分の課題を見つける)はじめに書写の学習は「課題解決学習」そのもの児童が課題を見つけられるように硬筆指導に生かすための毛筆指導学習したことを生かせるようにするためにICT端末を使用した書写指導~主体的・対話的で深い学びを目ざして~書写東京都足立区立栗島小学校主任教諭 山やま田だ 梨り沙さ

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