「子どもが主役」の授業デザイン 2教科の視点 書写ー9特集図2 分解した点画を児童が組み立てた例ICT端末の活用② 「「結び」の筆使いに気をつけて書こう」を目標とした教材文字『はす』では、「❺練習」において、近くの友達と書字過程を撮影し合い、その映像を見ることで、自分がどんな筆使いをして「結び」を書いているか、改めて確認できたようです。(図3)また、書いた文字について自ら確認したり、友達とアドバイスし合わせたりしました。体的・対話的で深い学びとなるように留意しています。例えば「❺練習」では、書いた文字について、友達と「『右』の一画めの右はらいは短く、二画めの横画は長く書けたね。」などと、学習した書写用語を使わせて、お互いにアドバイスし合いながら行うことで、対話的な学習ができるようにしています。理解させたことを技能として身につけられるように机間指導もしていきます。 さらに、「❽日常生活に生かす」時間を必ず設け、書写の学習を日頃の書字活動(宿題、ノート等)に生かせるようにしています。担任が根気強く指導し続けることが大切なことだと思っています。 「『は』の一筆めのはねが二筆めにつながるように書けているね。」「『は』の結びは横結びになっていて終筆はいいけれど、教材文字みたいに曲げられていないね。どうしてだろう。」などと、できている点は認め合い、改善点はアドバイスを出し合い、何度も振り返り練習することで、点画の形と筆使いの関係を理解していました。図4の右のように、赤ペンで記した自分の課題も、左のまとめ書きでは、練習を生かして正しい筆使いで書けるようになりました。 ICT端末を取り入れた学習は、今まで児童が各自で行えなかった活動をできるようにしたり、点画のつながりを確認することができたりと、書写の学習において大変有効です。児童の課題を明確にし、正しく整った文字の書き方を学ばせ、手書き文字を大切にできる児童の資質・能力を伸ばすためには、指導の質を高めることが大切です。そのためにも学習過程を見直し、書写の学習においてもICT端末を効果的に活用していきましょう。図3 活動の様子図4 まとめ書き(左)と試し書き(右)主体的・対話的で深い学びを支えるおわりにICT端末の活用① 図1のような教材文字を扱う際は、分解文字を使って、画の長さや方向に着目させる指導をしています。以前は画用紙で作成した分解文字を一、二名の児童が黒板に貼り、それを学級全体で確認していました。現在は一人一台端末があることで図2のように作成したデジタル教材を使って、各自が操作することで、画の長さと筆順の関係に気づくことができ、基準への理解がさらに深まりました。 また、指導者用デジタル教科書や「まなびリンク」には、書字過程の示範動画があります。練習時には教室の電子黒板に連続再生しておくことで、児童はいつでも確認ができ、自分のペースで練習に取り組むことが可能になります。
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