教育情報誌 学びのチカラ e-na!! vol.4 (小学校版)
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未来を拓く授業デザイン〜学びに向かう力を身につける〜教科の視点 算数特集 「10を1とする」「ぶんかい・がったいほうしき」「かけわりぶんかい」といった数学的な見方が書かれているのがわかるでしょうか。一斉授業において、「どんな考え方を使ったの?」のような発問を繰り返しながら、子どもが働かせた数学的な見方を言語化させるのです。そして、・前の学習と共通することは何?・次は、どんなことができそう?といった数学的な考え方を働かせる発問を繰り返し行っていくのです。その結果、子どもは少しずつ算数の学習観と学び方を身につけていきます。 「子ども自ら学びに向かう算数授業づくり」を考える際には、算数における「個別最適な学び」について考えることを避けて通ることはできません。算数における「個別最適な学び」とは、「子どもが自分の興味・関心に合わせて、自ら学びを進めているか」という視点だけでなく、「数学的な見方・考え方を働かせて学べているか」という視点も大切です。算数における「個別最適な学び」を実現させるためにも、一斉授業で算数の学習観と学び方を子どもが学べるようにしていくことは、とても大切です。う学習活動を行いました。3時間目は、一人一人が学習の進度を決めることができる個別学習を行いました。個別学習といっても、周りの人と関わりたいときは自由に関わることができる学習形態です。 下の画像は、ある子どもの3時間目のノートです。 ノートの左上に「分かいがったい方式」と書かれています。これは、1・2時間目に働かせた数学的な見方が、(きりの悪い2桁)×(きりの悪い2桁)でも同様に働かせることができることを確かめているのです。しかし、右側には「両方をぶんかいしてもできるけれど、かた方でやる方がやりやすい(10を1とする)」と書かれています。これは、23×12であれば、「23×12の12だけを10と2に分けて、23×10+23×2と考えた方がわかりやすい」ということです。このように、数学的な見方を意識し、数学的な考え方を働かせることで、これまでの学習との共通点を見つけるだけでなく、これまでのやり方が使いづらい(もしくは、使えない)場合があることにも気づくようになるのです。 子どもの意識を、「できた・できない」という結果ではなく、数学的な見方・考え方に向かわせるために重要になるのが一斉授業です。一斉授業には、学習観と学び方を学ぶ場としての役割もあります。・算数とは、何を学ぶための学習なのか?・そのためには、どんな学び方をすればいいのか?ということを、一斉授業をとおして共有していくのです。「答えが出たら終わり」ではなく、・どのような考え方を使ったの?・どうしてそうしようと思ったの?・一番大切な考え方は何?・今までの学習との共通点は何?2時間目板書【引用文献】・『小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 算数編』文部科学省(平成30年)【参考文献】・加固希支男:『「個別最適な学び」を実現する算数授業のつくり方』明治図書(2020)・だったら、どんなことができるの?といった発問をしながら、算数に対する学習観を育てるとともに、学び方を学ばせていくのです。 下の画像は、2・3桁×2桁の1・2時間目の一斉授業の板書の一部です。1時間目板書13学習観と学び方を学ぶための一斉授業の重要性ー

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