未来を拓く授業デザイン〜学びに向かう力を身につける〜教科の視点理科ー 特集の視点教科表1 理科の授業の4つの目的と6つの活用機能[1]表2 問題解決の過程と活用機能の関係[1] GIGAスクール構想により、1人1台の学習用端末(以下、端末)の活用が始まっています。端末は特別な道具ではなく、日常的に活用する「文房具」の1つとして教育現場での浸透が進んでいます。 理科は、児童自身が自然の事物・現象に働きかけていく教科であることから、端末の活用方法は、問題解決の過程と関連づけて考えていくのがよいでしょう。寺本(2022)によると、理科における授業の目的について問題解決の過程から4つの目的に整理し、6つの機能をあてはめています(表1)。 これらの活用方法は、問題解決の過程と密接に関わっています(表2)。例えば、検索機能は「自然事象に対する気づき」「検証計画の立案」「観察・実験の実施」の場面での活用が多いことがわかります。 そこで、端末の活用について、学習内容をふまえながら考えていきたいと思います。ここでは、問題解決の過程のあとで定着を図る習得機能を除く5つの活用について、実践をもとに紹介します。1時間先までの予報(出展:気象庁ウェブサイト) インターネット上にある多くの情報について児童自身が検索します。 第5学年「天気の変化」の学習では、映像などの気象情報を用いて天気の変化について予想します。気象庁の雲画像や天気図、雨雲レーダーなど複数の情報を集めながら、天気の変化の規則性を調べていきます。 気象庁のサイト以外にも、NHK for Schoolや各地方のライブカメラなど、さまざまな情報を組み合わせながら調べ、自分なりの根拠を確かなものにしながら、数日後の天気について根拠のある予想を立てられるようになります。 なお、オンラインを活用して遠隔地をつなぎ、天気の情報を交流することも効果的です。 ホウセンカやヘチマなど、植物の成長記録は、カメラ機能を活用し、それぞれの成長過程ごとに撮影し、蓄積しておきます。 第3学年「花をさかせたあと」の単元の最後には、これまで蓄積してきた画像を活用してまとめることができます。これまでの画像から必要な情報を選択し、1枚のシートにまとめ、植物の発芽や成長過程について振り返ります。植物の観察は、季節をまたぐ長期間の学習となることから、過去の成長の過程を思い出すことが難しい場合もありますが、画像として記録し、メモを残しておくことで思い出しやすくなるでしょう。なお、植物の観察にも有効ですが、メダカの成長記録や季節ごとの昆虫の画像を蓄積することも有効です。14はじめに検索機能蓄積機能学習用端末の機能に応じた効果的な活用北海道旭川市立朝日小学校教諭 加か藤とう 久ひさ貴き理科
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