未来を拓く授業デザイン〜学びに向かう力を身につける〜教科の視点生活ー 特集の視点教科 教育出版の生活科の教科書には学習を振り返る「なにを かんじたかな」というページがあり、その中に『まんぞくハシゴ』が載っています。『まんぞくハシゴ』と聞いても、ピンとこない方もいるのではないでしょうか。区のアドバイザーとして、若手の先生向けに生活科の授業についてお話した際、「『まんぞくハシゴ』は教科書に載っているが意識して使っていなかった。」という声があがりました。ここでは、『まんぞくハシゴ』を使った授業実践を紹介します。これを読んでくださった方が、「明日からやってみよう。」と思っていただけるとうれしいです。 生活科の教科書を開いてみてください。各単元の途中や終わりに『まんぞくハシゴ』があります。全て右端にあって、比較しやすくなっています。 単元の始めでは、単元のゴールイメージを子どもと共有するのに有効的です。 単元の途中では、現在の位置を確認することができ、活動への意欲付けをすることができます。 単元の終わりでは、単元を振り返り自分自身の成長を実感でき、さらなる意欲付けにつながります。 また、クラス全体で振り返る際に活用することもできますし、一人一人がハシゴに色をつけることで個人の振り返りに活用することもできます。 私は自分で『まんぞくハシゴ』を作り、教室内に掲示をしています。生活科の授業の際にいつでも振り返ることができます。そして、『まんぞくハシゴ』のゴールイメージの部分だけを変えれば、次の単元でも使い回すことができます。 ゴールイメージの言葉は単元名を使ってもよいと思いますが、慣れてくると子どもたちと一緒に考えることができます。「この単元が終わる頃にはどうなっていたいかな?」と問うと、子どもたちは自分たちの言葉で一生懸命考えます。2年「作って ためして」の授業では、「自分しか作れないおもちゃを作ろう」と子どもたちが考えました。教師が提示する言葉よりも活動にぴったりの言葉が出てくるので、子どもたちの発想には驚かされます。ここには、それぞれが満足のいくおもちゃを作りたい、教科書には載っていないおもちゃを作りたいという子どもたちの強い思いが感じられます。実は、この授業実践ではなかなか動くおもちゃを作ることができませんでした。子どもたちの思いは強かったのですが、実際にやってみるとイメージ通りに動かなかったのです。『まんぞくハシゴ』を使うと「半分ものぼることができない。」と子どもたちは嘆いていました。しかし、おもちゃが動き始めると活動も盛り上がり、最終的にクラスで遊んだときには、『まんぞくハシゴ』の頂上までのぼることができました。「自分しか作れないおもちゃを作ろう」というゴールが明確であったため、諦めずに突き進むことができました。そして、私も子どもたちそれぞれの思いを見取りやすく、支援することができました。「どうして?」「どうしたい?」こんな声掛けをすると、子どもたちの思いを引き出しながら支援することができます。16はじめに『まんぞくハシゴ』って何?こんな使い方をしています1年「きせつとなかよし あき」の実践を通して単元の導入 気温が低くなり、植物の変化も見え始めた頃、秋に関する詩を音読したり、教師から秋を見つけるきっかけをつくったり、秋を探してみたいと思えるようなしかけをしていきました。「通学路に葉っぱが落ちていたよ。」「公園にどんぐりがあったよ。」と子どもたちの反応が見え始め、校庭の秋探しをしました。まだこの時点では『まんぞくハシゴ』は提示せず、校庭で季節の変化を実感したとこ振り返りを読み解く~まんぞくハシゴを活用した実践より~東京都江東区立北砂小学校主幹教諭 小お俣また めぐみ生活
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