未来を拓く授業デザイン〜学びに向かう力を身につける〜教科の視点 音楽特集表現の改善点を話し合う様子 「高い声だけではなくて、声の大きさに波をつけてみるね」「北海道の雪を表すには、誰かがもっと低い声を出したほうがよいと思うのだけど、どうかな」と最初に出した話し合いの条件に合わせながら話し合いが進み、何度も表現をしていきました。そこでは、子どもたちが取り組みやすい強弱や音の高さ以外にも、「Aさんと私の声は相性がよいから重ねてみたよ」といった音の重なりや、「音色を変えて気持ちや表情を変えてみたよ」といった音色に着目している様子も見られました。た。話し合ってもよい内容が限られていることに加え、時間制限(3分)を設けたことにより、いつも以上にグループ内の話し合いが活発になっている様子が見られました。 話し合いが終わると、いよいよ表現する活動が始まります。みんなで目を合わせたり、いつも以上に耳を澄まして友達の表現を聴いたりして、グループで表現をつくり、タブレット端末を使って録音する様子が見られました。1回めの表現が終わると、録音したものを聴いて確認します。「おお~、よい感じ!」という声もあれば、「なんか違う」といった声も聞こえます。すると、もっと表したいイメージに近づけるようにちょっとした話し合いが始まりました。 授業の始めに、前時に録音したグループごとの『ゆき』を鑑賞しました。このような場面では、鑑賞する前に工夫した点を伝えることが多いと思いますが、今回は何も伝えず、聴き取る・感じ取ることで各グループの表現に寄り添っていきます。鑑賞を行うと、「少しずつ人が増えていって、たくさん雪が降り積もっている感じが伝わってきた」「リレー形式ではなく、重なっていくのがすごくよいね」と各グループの工夫した点や表したいイメージを聴き新たな工夫について話し合う様子 グループでの活動が終わった後の子どもたちの表情はとても満足したものでした。完成した表現だけでなく、学習に対する達成感や笑顔も大事だと思います。再度、完成した表現を鑑賞すると、「最初に聴いたときよりも、雪が深く積もっている様子が伝わってきたよ」「打ち合わせの内容が限られているのに、重なり方がすごくうまくいっていて、イメージしやすかったな」などと、子どもどうしで表現の変化を捉え、価値づけし合っていく様子が見られました。取り、感じ取っている様子が見られました。すると、ある子どもから、「自分たちにはなかった工夫があって、試してみたいから、もう一度やりたい」という声があがりました。それは、他のグループの表現を聴き、新たな視点を自ら得たことが理由でしょう。他の子どもたちも「音の重なり方を変えてみたい」「今度は音色を変えてみたい」などと新たに工夫して試そうとする姿が見られました。教師から、「再度、表現に取り組んでみよう」と伝えるよりも、主体的に取り組むことにつながります。自分たちなりの最善を求めようと、さらに前のめりになって活動に取り組んでいきました。 授業が終わった後、「即興的な表現に取り組んでみてどうでしたか?」と尋ねてみました。即興的な表現と初めて伝えたときは、「難しそうだ」と不安がっていた子どもたちでしたが、「友達がどんなタイミングで発声するかわからないから緊張するけれど、それにこたえたり、続けたりして盛り上がっていくからおもしろい」「同じテーマで表現しているのだけど、たったちょっとの違いで、感じたことが変わることに気づいた」「次は別のテーマで即興的な表現をやってみたい」という声があがりました。詩『ゆき』は「しん」という短い言葉で、さまざまなアレンジができるため、即興的な表現に取り組み、子どもたちがそのよさやおもしろさなどを感じるには、もってこいの題材だと思います。ここで伸びた表現力を今後の学習でも生かしていきたいと思っています。19自分たちが考えた音楽をブラッシュアップするおわりにー
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