教育情報誌 学びのチカラ e-na!! vol.4 (小学校版)
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未来を拓く授業デザイン〜学びに向かう力を身につける〜教科の視点英語ー 特集の視点教科 「これから小学校で英語教育が始まる」といわれていた20数年前、我が子の児童英会話教室の先生に紹介された児童英語の月刊誌を参考にしつつ、私はちょっとしたアクティビティを、教室の児童とときどき楽しんでいました。その様子を見た管理職から、「英語活動の授業をテーマとして校内研修を推進してはどうか。」と助言されました。そのときの在籍校でタスクベースの単元指導計画による英語活動の授業に取り組んだことが、私が小学校の外国語教育に本格的に関わるようになった始まりでした。 外国語教育の先駆けの時代を、理解し支えてくださった管理職や先輩、同僚、何よりも教室の児童とともに楽しんでいた頃が、今となってはとても懐かしいです。また、その頃に英語活動の授業を受けていた児童が、今や教壇に立つ人材となり外国語教育推進の一翼を担っていることも感慨深いものです。 私が現在勤務する大分県の佐伯市立上堅田小学校でも、若い教師たちが学級担任として外国語活動や外国語科の授業に取り組んでいます。本校では児童の外国語によるコミュニケーションに係る資質・能力を育てるために、言語活動を中心に据えた単元指導計画を立案し、実践しています。 佐伯市には各校が共有している外国語科のカリキュラムがあります。私自身が前任校で作成した内容に基づいたもので、本校でもそれをベースにしながら、他教科関連の題材や各担任の個性を生かす題材を加えて、言語活動を中心に据えた指導を行っています。特に、単元ゴールにどのような言語活動を設定するかが、単元指導計画の核となります。そして、言語活動で大切にしているのが以下の「4つの視点」です。 授業者たちはこの「4つの視点」に見合う言語活動を考えることが一番難しいと言います。しかし、そ言語活動の「4つの視点」❶必然性・目的意識がある。❷ほんものである。 ❸相手意識がある。❹コミュニケーションの意義や楽しさがある。の一番難しいことが、実は一番重要なことなのです。 学級担任は、他教科の学びと関連づけたり、児童の興味関心に沿った題材を選んだりしつつ、この「4つの視点」に合う言語活動を工夫し設定しています。 平成31年(令和元年)4月から本校は文部科学省の教育課程実践検証協力校に指定されています。文部科学省初等中等教育局の直山木綿子視学官よりご指導いただき、毎年度2回から3回の公開授業を行ってきました。 以下に、「4つの視点」に沿った単元ゴールの言語活動を、担任教師が他教科や学校行事等と関連づけて設定した単元名と実践内容を紹介します。【3年生】 単元名「アルファベットすごろくで楽しもう」『Let’s Try!1』Unit6 アルファベットとなかよし ALTと仲良しになりたい3年生が、ALTと一緒に遊べるアルファベットすごろくを作り、ALTと楽しい時間を過ごしました。【4年生】 単元名「上小4年2組オーガニッククラス宣言」『Let’s Try!2』Unit9 ぼく・わたしの一日 総合的な学習の時間に学んだ「オーガニックシティさいき(佐伯市版SDGsの取り組み)」について、4年2組の自分たちにできるSDGsの具体を考え、それを英語で宣言するスライドを作成しました。できたスライドは佐伯市役所観光課に提案したり、CATVの番組に投稿したりして、佐伯市民にアピールしました。【5年生】 ① 単元名「修学旅行で行きたい街〜修学旅行の行き 先を校長先生にプレゼンしよう〜」『ONE WORLD Smiles 5』Lesson6 Where do you want to go? コロナの影響で修学旅行が県内になったことで、自分たちが行きたい県内の市町について、校長先生にその場所の魅力や行きたい気持ちをアピールしました。プレゼンで選ばれた場所は実際に修学旅行コースに組み込まれ、全員が楽しむことができました。20先駆けの時代から言語活動の「4つの視点」「4つの視点」に沿った言語活動の実践例児童も授業者も楽しめるのが小学校外国語教育です~「4つの視点」に沿った言語活動の実践~大分県佐伯市立上堅田小学校校長 福ふく田だ 優ゆう子こ英語

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