教育情報誌 学びのチカラ e-na!! vol.4 (小学校版)
33/36

必見!! 合点!! 著作権!授業で公衆送信によって著作物を利用する場合は、「一般社団法人 授業目的公衆送信補償金等管理協会」、通称「SARTRAS(サートラス)」という名称の団体が、管理窓口となっています。SARTRASに登録し、1年度につき、小学校であれば児童1人について120円(指導者は数に含めません)の補償金を支払えば、授業で必要な著作物全てを、公衆送信によって自由に利用できます。登録・補償金の支払いは、教育委員会、学校法人等の「教育機関の設置者」が行いますので、個々の先生の手続きは不要です。ただし、先に述べた、「遠隔合同授業のような、もともと公衆送信での自由利用が認められていた方法以外では利用しない」となれば、手続き、支払いは不要です。○参考:授業目的公衆送信補償金規程続きは不要です。ただし、対面授業でも注意が必要です。公衆送信では、「この法律にいう『公衆』には、特定かつ多数の者を含むものとする。」(第2条第5項)とあり、「改正著作権法第35条運用指針」(P.6)にも、授業における指導者と子どもたちとの間での送信は、「公衆送信」にあたるとされています。つまり、自宅学習のために著作物をメールで子どもたちに送ると、それは公衆送信になります。さらに、学習支援ソフトなどで、対面の授業でも教室の中で子どもたちとデータのやりとりをすることがあると思います。学習支援ソフトでは、一般的に学校外のサーバ等を使いますので、これは先の「同一構内」という条件から外れるため、公衆送信にあたり、SARTRASへの手続きを要します。○参考:改正著作権法第35条運用指針本記事が、学校を中心に教育の場における著作物の利用について、先生がたのご判断の一助になれば幸いです。33Q 授業で、 インターネットを使って 著作物を送信するときは、 よいのですか?A   コロナ禍で、オンラインによる授業が盛んに行われるようになって以来、「公衆送信」という用語がよく聞かれるようになりました。「公衆送信」とは、放送やインターネット送信によって、不特定の人や特定多数の人に、著作物を送信することをいいます。著作権法は2018(平成30)年に改正されましたが(2020〔令和2〕年施行)、改正以前にも、遠隔合同授業のような、対面授業で使われる資料やその授業映像を、離れた教室に同時に公衆送信する際は、無許諾無償での著作物の利用が認められていました。この改正によって、対面授業の予習、復習、いわば宿題のための資料を子どもたちにメールで送ったり、授業の録画をインターネットに上げて子どもたちが自分の好きなときに視聴したりするなど、「公衆送信」の授業での利用の範囲が広がりました。SARTRASに登録すればQ 対面の授業における著作物の利用は、 「公衆送信」とは関係ないですか?A   対面授業であれば、「公衆送信」は一切関係なく、従来のように著作物を無許諾無償で複製して使えるのでしょうか(必要と認められる限度内、かつ著作者の利益を不当に害さない場合において、です)。公衆送信のきまりの一つとして、学校と同一の敷地内(同一構内)に設置されている放送設備やサーバを用いた送信行為は、公衆送信には該当しないことになっています。例えば、校内放送で校内の放送設備を用いて楽曲を流す場合は、一般的には公衆送信にはあたりません。さらに、公衆送信されている著作物、例えばテレビ放送やインターネット上の動画などを、教室のモニターやスクリーンに映して視聴させることは、「公に伝達」することとして自由に利用することが認められています。以上のことは、対面授業においてもSARTRASへの手次号では、引用について考えてみたいと思います。※本記事中、条文番号は著作権法のものを示しています。

元のページ  ../index.html#33

このブックを見る