教育情報誌 学びのチカラ e-na!! vol.4 (小学校版)
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未来を拓く授業デザイン〜学びに向かう力を身につける〜教科の視点国語ー 6特集の視点教科・何を書くか決められない・どう書くのかわからない・楽しく書きたい・友達に読んでもらって感想をもらいたい・書くことに抵抗感をもってほしくない・相手や目的を意識して、伝わる文章を書けるようになってほしい・その子らしい着眼点で表現ができるようになってほしい絵や写真を見て、書き出しを工夫して書く。「楽しかった」「おどろいた」などの言葉を別の言葉で表現する。身近なものになりきり、ものの見え方を想像して書く。読み手を意識して、題名の工夫について考え、表現する。 これらは、学級の子どもや同僚の教員に聞いた「書くこと」における悩みや願いです。同じような悩みや願いをもっている子どもや教員は多いのではないでしょうか。 教科書教材にあるから書く活動を取り入れるというのは、日常的に行われていることです。しかし、書くことを難しいと感じる子どもにとっては、「急に書くことになっても困る」と、国語の時間が来るたびに眉をひそめることになるでしょう。 年間を通して、子どもが書くために必要な力を少しずつ、着実に身につけていくことが理想的です。朝学習や国語の時間の10分程度をミニレッスンとして位置づけ、子どもたちにとっても、授業者にとっても負担にならず、楽しみながら取り組める時間を、ぜひ設けたいものです。 では、このミニレッスンでどのような内容を扱うとよいのでしょうか。ポイントは「負担にならないこと」「子どもが楽しめること」、そして「書くための基礎的な力をつけられること」です。以下は、本学級(3年生)で取り組んだミニレッスンの一部です。・書き出し・言い換え名人・なりきり作文・題名のつけ方 同じ内容を繰り返す、教科書教材の内容に合致するものに取り組む等、学級の実態や学習の進捗状況に合わせてミニレッスンを取り入れています。 ミニレッスンで取り組んだものは、一つのファイルにとじ、いつでも見返せるようにしています。書く活動になった際に、これまでの取り組みをファイルから探し、確認することができ、子どもたちにとっては、「お守り」のような存在です。 このような内容の積み重ねを生かして取り組んだのが、『強く心にのこっていることを』の単元です。 身近な生活の中から題材を見つけ、中心になる場面を明確にして文章を書くという学習内容です。何を書くのか(題材の決定) 日記などに定期的に取り組んでいる場合は、その中から「強く心に残っていること」を選ぶことができます。日記などに取り組んでいない場合は、単元に入る前に一定期間、心に残ったことを書きためていけるようにすると、子どもは、自分が書きたいことを見つけやすくなります。同じ「楽しかったこと」でも、心への残り方は違います。そこで、書きためる際には、次のようなイメージマップを使い、伝えたいことがより明確になるようにします。 以下は、子どもたちが題材として決めたものの一部です。【行事・イベント】・シャボン玉パーティ(総合的な学習の時間)・水族館に行ったこと ・スケートをしたこと・イルミネーションを見たこと「強く心に残っていること」を書きためるイメージマップ年間で取り組む「書くこと」『強く心にのこっていることを』(教育出版『ひろがる言葉 三下』p.96)から学びに向かう力を支える「積み重ね」と「共有」神奈川県横浜市立宮谷小学校教諭 奥おく村むら 千ち絵え国語

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