教育情報誌 学びのチカラ e-na!! vol.4 (小学校版)
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未来を拓く授業デザイン〜学びに向かう力を身につける〜教科の視点 国語ー7特集【日常】・いも虫を見つけたこと ・氷が張っていたこと・氷を食べたら舌にくっついてしまったこと・ペットのこと ・家族とけんかしたこと ここでは、着眼点のよさを認める声がけを意識しました。具体的には、「これは、あなただけが知っているできごとだね!」や「どんなできごとで、どんな様子だったのか知りたい!」といったものです。どのような材料を集め、組み立てるか(取材・構成) イメージマップの活用後、組み立て表を作ります。これらの活動によって、指導事項の「書く内容の中心を明確にし,内容のまとまりで段落をつくったり,段落相互の関係に注意したりして,文章の構成を考えること」(『小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 国語編』p.101)が達成されることになります。 組み立て表への記述は、3色の付箋紙を使い、そのときの様子・気持ち・会話と書き分けます。ここで重要なのは、読み手を意識することです。「この内容で読んでいる人に伝わるかな」「様子が伝わるようにするためには、どのような言葉を選んだらいいかな」と考えていくことが大切です。そういった考えに至るためには、子どもどうしの交流が欠かせません。イメージマップや、組み立て表を作っている過程の中で、子どもどうしで見合い、質問したり、答えたりする時間を設けるようにすることは、読み手の意識をもてるようになるとともに、自分が書こうとしているものへの自信にもつながります。【気持ちを表す言葉】・「楽しかったです」「おどろきました」「うれしかったです」【動作を表す言葉】・「言いました」「行きました」「見ました」子どもどうしで交流している様子【引用文献】・『小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 国語編』 これらの言葉は、ミニレッスン(「言い換え名人」)で取り上げ、他にどのような言い方があるのか、言い換えによって、どのような意味の違いや印象の違いが生まれるのか確認しました。以下は、言い換えの一例です。言いました…つぶやきました/さけびました/ おこったように言いました 同様に、書き出しや題名のつけ方についてもミニレッスンで確認し、書く際に生かせるようにしました。 教科書には、例として、ペットのカメ太とのできごとが詳しく書かれています。そのよさについて確認するとともに、「では、カメ太の視点で書いたらどうなるだろう?」と問いかけ、一部分の書き換えを行いました。自分以外のものの視点になって書くことのおもしろさに気づき、書く際に生かす子もいたほどです。 作成途中や、下書きの共同推敲、書き上げたものの交流は、小グループを作り、対面で行うとともに、「ロイロノート・スクール」を活用しました。使ったのは、「ロイロノート・スクール」の「回答の共有」です。提出したイメージマップ、組み立て表、下書き、清書は、全員が見られるようになります。そのようにしたことで、「〇〇さんの気になる!」といった声が本人に伝わり、書くことへの意欲につながりました。また、どのように書いていいか迷っているときに、友達のものを参考にする姿も見られました。 今回も取り入れた「回答の共有」ですが、初めは、見られることに抵抗を感じている子どももいました。しかし、何度か経験していくうちに、「見てもらえると、アドバイスをもらえることもある」「見てもらって感想をもらうと嬉しい」「〇〇さんもがんばって書いていたから、ぼくも最後までやりきろう」といった前向きさに変わっていきました。子どもどうしで共有することのよさや意味を感じられたことが、結果として学習を後押ししたことはまちがいありません。このように、書くことに必要な力を身につけるための積み重ねと共有を通して、学びに向かう力はより高まったと考えます。子どもどうしが学び合える場どう書くのか(記述) 以下は、子どもたちが文章を書く際によく使う言葉です。

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