教育情報誌 学びのチカラ e-na!! vol.4 (小学校版)
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未来を拓く授業デザイン〜学びに向かう力を身につける〜教科の視点書写ー 8特集の視点教科 さあ、新しい学年の始まりです。ピカピカの教科書を手にして張り切っている子どもたちに負けないよう「どんな授業をしていこうか」とわくわくしてみませんか。 小学校の書写教育におけるねらいは、「文字を正しく整えて書く力」と、その力を「生活に生かそうとする態度」を育むことです。ただ文字を書くのではなく、授業のなかで何を学んだか、学んだことをどのように使えばよいのか、どう役に立つのかを子ども自身が自分の言葉で認知していくことが必要です。子どもたちが主体的に課題を見つけ、学び、振り返ることでたどり着けるといえるでしょう。そのためにはどんな授業を展開すればよいのか、そのヒントは教科書に詰まっています。 まず、指導書や教科書会社のウェブサイトにある「単元一覧表」を確認してみましょう。それだけでも教材の系統が見えてくるはずです。もちろん、1回学んだだけで全ての子どもが「書く力」を身につけているわけではありません。繰り返し出てくる内容もあります。大事なことは、学びの軌跡を理解したうえで授業を組み立て、日々の文字指導に書写の学びを取り入れていくことです。 それでは、教科書を開いてみましょう。目次(図1)を見れば、この1年間に何を学習するのかがわかります。次に、学習の進め方(図2)については、教科書に示されているような流れで授業を組み立てていくとよいでしょう。それでは授業における注意点を見てみましょう。 図1 教育出版『小学 書写 四年』 p.3「目次 上段」図2 教育出版『小学 書写 五年』p.4「学習の進め方」「学習の進め方①~③」 配分時間:20分 めあてについては「自分のめあて」をもって学ばせるのは慣れないと難しいことです。まずは「みんなのめあて」として進めるとよいでしょう。また、試し書きをして教材文字と比べたあとに、気づいたことやうまくいかなかったところを出し合うなかで、めあてに集約していく方法もあります。ここで大事なことは、めあてや、めあて達成の方法を教師自身が説明してしまわないことです。子どもたちが主体的に考え、見つけ、課題に取り組んでいく。そのために試し書きと教材文字を比べたり分解文字を使ったり、筆使いを調べたりという活動があるのです。「学習の進め方④・⑤」 配分時間:10分 はじめのうちは45分で収まらないかもしれませんが、子どもたちに学習の流れが見通せるようになれば必要以上に指示を出さずにすみ、無駄な時間がなくなります。また、活動には個人差が生じますが、全員が終わるまで待つのではなく、次の活動をはじめに授業の前に準備として1時間の学習の組み立て方ただ書くだけが、書写ではない ~指導展開のヒントは教科書の中に~書写神戸女子短期大学幼児教育学科教授 山やま内うち 有ゆ香か子こ

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