教育情報誌 学びのチカラ e-na!! vol.5 (小学校版)
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1:みんなで教科書をつないで、「うみ」の広さ特集の視点教科輝いて生きるための自分デザイン教科の視点音楽ー  デジタルの時代に、「アナログ活動のすゝめ」です。 学校教育の一番の特徴は、同年齢の子どもたちが、場所と時間を共有して活動するということだと思います。そこで私は、仲間と一緒だから「わかる」「できる」「感じ取れる」「楽しめる」という内容の活動と指導方法で音楽の授業づくりをしてきました。 この考え方で活動を考えると、ほとんどの場合アナログ的な活動に行き着きます。学習のねらいがシンプルに子どもに伝わる実感があるからでしょうか。 今回ご紹介する活動以外にも「ホワイトボードとマグネットシートを使った音楽づくりの活動」や「1つの音源を同時にみんなで聴くから楽しい鑑賞の活動」など、いろいろな内容や領域でアナログ活動が活躍します。アナログ活動に共通しているのは、どの子どもも教師も常に全体が見渡せるという場の状況、リアルタイムでの相互関係(対話・思い・考え・反応・交流)などです。 教育出版の1年生の教科書(p.26)には、明るいブルーで広さを感じる美しい海の写真が掲載されています。これだけでも、「うみ」の美しさや広さはイメージできるかもしれません。しかし、これは家にいて一人でこの写真を見ても感じ取れることです。せっかく時間と場所を共有する場である「学校」での学習ですから、仲間がいるからこそできる活動、仲間がいるからこそ感じ取れる活動、仲間がいるからこそ楽しめる活動を考えてみました。「教科書をつなぐ」活動です。 「『うみ』は、1年生の歌唱共通教材だから、とりあえず歌わせておこう」というだけでは、あまりにももったいないと思います。「教科書をつないで広い海にしよう」という単純な活動ですが、子どもたちは、水平線がつながるように一生懸命調整し始めます。広く大きな海を表した歌詞も実感しやすいようです。また、広い海を前にして歌うときは、あえて教師用指導書 表現CD(以下同)やピアノなどの伴奏を付けずに、無伴奏で歌うようにしています。教師が前奏を(歌の最後のフレーズを「ラ」唱で)歌ってあげれば、子どもたちは歌いだします。ここでは、音程の正確さや発声などは二の次です。歌詞にある「広い海、大きい海」を感じながら、ゆったりとした3拍子のリズムにのって歌う活動なのですから。 「知識・技能」は直接的に教えることもできます。しかし、「感じ取る」は主観ですから、直接的には教えることはできません。そこで、仲間がいるからこそ感じ取れる活動として、「教科書つなぎ」を導入にして、歌唱の活動、ゆったりとした3拍子を感じ取る活動へとつなげてみました。を感じ取ります。2:つなげた広い海を眺め、歌詞の内容を思い浮かべながら無伴奏で1~3番を歌います。3:※①「自分」 ②「右(の人)」 ③「右」→①「自分」 ②「左」 ③「左」と言いながら膝打ちを繰り返す活動をします。できるようになったら、膝打ちをしながら1番を歌います。発展の活動として、2番では、①自分 ②右 ③ポン(胸の前で手を合わせる)→①自分 ②左 ③ポン。3番では、①自分 ②右 ③(両手を自分の)頭→①自分 ②左 ③頭のように、3拍めの動きを変えると歌の1、2、3番のまとまりを意識した活動になります。 ゆったりとした3拍子の流れ(波)を体で感じ取る活動ですから、テンポはゆっくりめで。※①②③=3拍子の拍18音楽科で大切にしたいアナログの活動例1:1年生(歌唱)「うみ」超・アナログ活動のすゝめ日本女子大学講師 中なか島じま 寿ひさし音楽

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