特集の視点教科輝いて生きるための自分デザイン教科の視点道徳ー 私は現在、保育士や小学校教員を養成する本学子ども学科の教員として、大学生と向き合っています。 学生からは、講義や卒業研究に関する質問だけでなく、人間関係についての悩みや、進路についての相談もあります。学生の話を丁寧に聞きながら必要な場面でアドバイスはしますが、最終的には学生に自己決定を促すようにしています。また、多くの教員がいる中で、私の研究室を訪ねてくれた学生ですので、「先生に相談してよかったな」と思ってもらえる対応を心がけています。そこで、わからないことがあれば質問をして、学生が混乱しているときには一緒に整理をします。指導を押しつけるのではなく、学生をサポートするというスタンスを大切にすると、学生は話しているうちに解決策を見いだし、「できそうなことがあるとわかったので、もう少しがんばってみます!」と、入ってきたときよりすっきりとした顔で研究室を後にします。 学生と向き合うことは、学生の本来もっている力を引き出し高めていくうえでとても大切なことなのです。 教師に求められる力はたくさんありますが、子どもと向き合うことができていなければ、形は整っていても中身のない道徳授業になってしまうでしょう。子どもと向き合い、有意義な道徳授業にするためには、次の3つが大切です。・・気持ちのよい挨拶ができた子どもを認めて励ます。・・係活動をがんばっている子どもたちの様子を見届け、どんな気持ちで取り組んでいるのかを聞き取り、朝の会(先生の話)で認めて価値づける。・・元気のない子どもがいれば、授業中や休み時間に「だいじょうぶかな?」と、そっと声をかける。 1つめは、子どもたちに安心感を与える教師になること。「先生大好き」「学校大好き」と言ってくれる子どもを増やしたいものです。 2つめは、正義感を大切にする学級経営を行うこと。学級の全ての子どもが大切にされる環境をつくっていくことができるのは、教師です。 3つめは、質の高い道徳授業(考え、議論する道徳)の実践を行うこと。「今日の道徳は楽しかったな。来週も楽しみ!」と、子どもたちが主体的に学ぶ道徳授業を行うことは可能です。(1)子どもたちに安心感を与える教師 子どもたちが「明日も学校へ行くのが楽しみ!」と思う学級を目ざしましょう。そのために教師は、いつも明るく元気である必要があります。遅くまで仕事をがんばり、次の日に体調をくずしてしまっては、本末転倒です。優先順位をつけて効率的に仕事を進め、朝から爽やかに子どもたちに接したいですね。 次に、子ども一人一人の実態を丸ごと受け止め、成長を応援するスタンスで接することです。責任感の強い教師ほど、「なんとかしなければ!」と、熱血指導をする傾向があります。教師の言葉は、子どもに大きなインパクトを与えます。教師は子どもの欠点や短所を指摘するのではなく、「この子が、ここでつまずいている要因はなんだろう。どんなてだてが有効だろうか?」と、まずは考察することです。うまくいかないときには、すぐに周囲の先生がたに相談しましょう。日頃から、困ったときに相談できる関係を築いておくことも大切です。 また、子どもたちとの関わりも大切にしたいものです。休み時間に一緒に遊んでくれる先生、一生懸命授業をしてくれる先生……、子どもたちは自分たちとの関わりを大切にしてくれる先生が大好きです。登校してから下校するまでの間、子どもたちの様子をしっかり見守り、適切に対応しましょう。教師の言動は子どもたちに大きな影響を与えます。22はじめに道徳授業で教師に求められる力子どもと向き合う教師がつくる道徳授業名古屋経営短期大学子ども学科准教授 大おお藏くら 純じゅん子こ道徳
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