教育情報誌 学びのチカラ e-na!! vol.5 (小学校版)
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給食から、輝いて生きる子どもを育成するために30エ 教師はどのように給食指導を学び、どのように指導をしているのでしょうか。また、給食指導において大切なことはどのようなことでしょうか。給食は年間約200日実施されますので、教科によっては指導時数より実施回数が多い活動となります。一方で、教科書や指導書もないので、このようにやればよいというマニュアルのようなものはありません。だからこそ給食指導には難しい面があります。 多くの教員養成系大学では、具体的な給食指導を学ぶ講義は開設されておらず、教師を目ざす学生は、教育実習にて実際の給食指導を指導教員から学ぶのではないでしょうか。したがって、現場で指導する教師は、教育実習で学んだ方法で子どもに指導する、新任教師として着任後に先輩教師から教えてもらった方法で指導をする、もしくは自分が子どもの時に受けていた給食指導を思い出して指導する、ということになるでしょう。 給食指導については、小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 特別活動編の「学級活動の内容」(p.47)に次のように記されています。 これによると、食育の観点を踏まえること、学校給食や望ましい食事のとり方を指導すること、食習慣の形成を行うこと、人間関係をよりよくすることが求められていることがわかります。 また、『食に関する指導の手引 ー第二次改訂版ー』(平成31年)には、食育の視点として6つの視点が示されており、これによると、食に関する指導は、各教科や給食の時間等で行われるように計画を立てて実施することが求められています。また、給食の時間は食の指導を行う時間でもあり、給食や献立は食育の教材として活用することが想定されています。 給食は、とても多くの活動が入っています。これらを時系列に並べてみました。(1)手洗いや身支度(給食前の衛生チェック)(2)準備(給食当番の役割、配食時の約束)(3)あいさつ(「いただきます」)(4)食事(喫食の把握、食にふさわしい会話、子どもの心  身の健康状態の確認)(5)食の指導(今日の給食指導、栄養教諭等との連携)(6)あいさつ(「ごちそうさま」)(7)片づけ(安全、協力) これだけの活動を、多くの学校が45分程度で実施しているのではないでしょうか。本稿では、給食の時間を食育の6つの視点に沿って確認していきます。【①食事の重要性】 給食の時間の中心である(4)、(5)に関わります。給食はおいしい、みんなと食べるから給食が楽しいと思える環境をつくることが大切です。机をグループにしたり、輪に①食事の重要性食事の重要性、食事の喜び、楽しさを理解する。②心身の健康心身の成長や健康の保持増進の上で望ましい栄養や食事のとり方を理解し、自ら管理していく能力を身に付ける。③食品を選択する能力正しい知識・情報に基づいて、食品の品質及び安全性等について自ら判断できる能力を身に付ける。④感謝の心食べ物を大事にし、食料の生産等に関わる人々へ感謝する心をもつ。⑤社会性食事のマナーや食事を通じた人間関係形成能力を身に付ける。⑥食文化各地域の産物、食文化や食に関わる歴史等を理解し、尊重する心をもつ。『食に関する指導の手引 ー第二次改訂版ー』より帝京大学教育学部初等教育学科 准教授阪さか本もと 秀ひで典のり(2) 日常の生活や学習への適応と自己の成長及び健康安全食育の観点を踏まえた学校給食と望ましい食習慣の形成 給食の時間を中心としながら,健康によい食事のとり方など,望ましい食習慣の形成を図るとともに,食事を通して人間関係をよりよくすること。「学級活動の内容」より一部を抜粋1.給食に求められること2.給食指導6つのポイント

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