給食から、輝いて生きる子どもを育成するために31したりして、楽しい雰囲気をつくり出します。行事や誕生日には、教室装飾をすることも考えられます。また、教師は、生活するうえで給食を含めた食事はとても重要であることを指導します。【②心身の健康】 給食には、食の安全が求められます。まず(1)では学校で定められている衛生チェックを確実に行います。特にアレルギー対応が必要な子どもがいる場合は、誤配食が起きないようにしっかりと確認します。(2)では、行動の安全が求められます。重いものや熱いものに配慮し、給食当番の実施状況を把握します。特に(4)が重要なポイントになります。「いただきます」をしてしばらくしたら、子どもの様子を見に行きましょう。ふだんより食べる量が少なかったり、遅かったりする場合、体調が悪いことがあります。その際にはすかさず声かけが必要です。また、友達とトラブルをかかえたまま給食の時間になると、同じく食が進まない場合もあります。この時も同様に声かけをしましょう。給食は全員が座っているので、一人一人の状況を把握することが容易です。子どもによっては偏食がある場合があります。教師はすぐに改善しようと焦ることなく、粘り強く声かけを続けることが大切です。一方、よく食べる子どもはお替わりをするでしょう。こちらのやり方に関してもルールを決めて早食い競争や大食い競争にならないようにしましょう。学年である程度のルールがあるとよいですね。給食は、教師が子どもの身体や心の状態を把握するのに大きく役立ちます。【③食品を選択する能力】 給食は栄養のバランスがとても優れています。(5)では、子ども自身が食習慣の形成のために食の選択ができるように指導することが必要です。苦手な食材がある場合には、給食を通して考えさせるとよいでしょう。今日の給食食材には何が使われているかを子どもと一緒に考え、その食材がもつ栄養が自分の健康といかに関わるのかを指導すると効果的です。また、栄養教諭や学校栄養職員と連携をとることも大切です。学校によっては、バイキング給食やセレクト給食等を実施することもありますので、自らがバランスよく食事をする実践の場となり得ます。指導の機会を逃さないようにしましょう。【④感謝の心】 (3)、(6)では、「いただきます」「ごちそうさま」を言うでしょう。しかし、その言葉を単に発することが目的ではありません。感謝の対象が、食材そのものや生産者、調理師、栄養教諭、給食当番等多くの方々であることを指導するとよいでしょう。【⑤社会性】 (2)、(7)等での給食当番は、集団生活をするうえで重要な役割を担います。自分の役割を確実に行うことは、自主【参考文献】・『学習指導要領(平成29年告示)解説 特別活動編』文部科学省(平 成30年)・『食に関する指導の手引 ー第二次改訂版ー』文部科学省(平成31年)性や責任感等を養い人間形成に大きく役立ちます。教師は子どもどうしの関わりを見守りながらも当番活動が安全に行われているのか確認をします。配膳車や配膳台の使用方法は学校ごとに決められているのではないでしょうか。担任が替わるとやり方が変わるのでは子どもは困りますので、学校で決められた通りに実施します。(4)では、食事には食器の置き方や、箸や茶わんの持ち方、食べ方等にルールやマナーがあることを指導することも必要になります。さらに、食事中にふさわしい会話をしないとなりませんし、きれいな食べ方も必要です。このようにたくさんのことを学びながら社会性を身につけていきます。給食は、同じことを年間約200回も繰り返しますので、だんだんと効果が表れます。【⑥食文化】 給食には、七夕やひな祭り等の行事による給食やいろいろな郷土料理の給食、世界の料理の給食、地産地消の食材を使った給食等があります。給食を通して、食文化を理解することや、自分の国や郷土を愛する心を育て、他国の文化を尊重するよい機会としたいですね。こちらも栄養教諭や学校栄養職員と連携をとるとよいでしょう。 これまで記してきた通り、授業1時間分に相当する45分程度の時間の中には、いくつもの活動が入り、育てるべき食育の観点が入っているのが給食です。ベテランの先生がたは、これらのようなたくさんのことを、おそらく無自覚の中で指導しています。先にも記しましたが、給食には決められた指導方法はありません。まずは、学校や学年で決められたルールに沿って実施することが大切です。子どもはルールに基づいた行動ができなければ混乱し、いちばん大切な食事をする時間が保障されなくなるでしょう。これは清掃指導でも同様です。ルールやマナーを守ることは、社会で生きていくうえでとても大切な学習でもあります。特に若手の先生は、給食の中で行われる多くの活動の意味づけを見直して、意識的に指導をしたらいかがでしょうか。また、給食の時間は子どもたちから多くの情報を得られる時間でもあります。この情報は学級経営に生かすことができます。給食の時間に、どうしても子どもに対して生活指導をしなくてはならないこともあるでしょう。食事の後でもよいのなら、まずは楽しい給食を食べてからにしませんか。 今一度、給食指導のあり方を見直してみましょう。たくさんの給食の価値を見いだすことができると思います。そして給食から、輝いて生きる子どもを育成しませんか。3.給食指導の見直しを
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