教育情報誌 学びのチカラ e-na!! vol.5 (小学校版)
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特集の視点教科輝いて生きるための自分デザイン教科の視点書写ー 8 令和4年度、1年生の担任をした際の実践を紹介します。1年生は文字学習の入門期であり、文字の基礎・基本を学ぶ必要があります。そこで私は、「文字感覚」を養い、単元後の書写学習や他教科の学習、日常生活、さらには将来につながるような実践がしたいと考えました。このように考えたのは、これまでの千葉市教育研究会書写部会の研究成果や課題があったからです。下記は、千葉市教育研究会書写部会の研究で明らかになったことです。 上記を踏まえた、令和元年度の研究における成果と課題は下記のとおりです。 この実践を行うにあたり、次の4つの手立て(工夫)を講じました。 5月に行った実態調査から、児童にとって、「はらい」を正しく書くことは困難であるとわかりました。そこで水書用筆を使っての練習を試みました。児童は平仮名の学習をしている段階で、未習の文字もありますが、水書用筆を取り入れた理由は3つあります。❸❷でつかんだことを硬筆で他の文字を書く際にも、生かすことができるようになるだろうと考えたから。 本時では、まず「く」(とめ)を図1のように、水書用筆で2分間練習をします。そのあと、図2のように硬筆で練習を行いました。次の「つ」(はらい)も同様です。水書用紙と硬筆を交互に練習することで、「とめ」と「はらい」の感覚の違いがつかめて、図5のような変容がみられました。図1 右利きの児童が「く」   (とめ)を練習する様子図3 左利きの児童が「つ」 (はらい)を練習する様子図5 試し書きとまとめ書き図2 「く」(とめ)の 硬筆練習図4 「つ」(はらい)の 硬筆練習・主体的に書写学習に取り組むには、「基準を明確にすること」「基準を意識しながら練習し、自分の書いた文字を見直して自己評価すること」が大切である。【成果】・学習意識のもたせ方や評価方法を工夫することで、練習の達成度やその学習への意欲に向上がみられた。・支援や場の工夫として、教科書の文字を使い、対話的な学習を行うことで、児童が本時のめあての達成に近づくことができた。【課題】・書写学習をとおして学んだことの日常化(他の場面でも生かすようにすること)。硬筆練習では、力を抜く感覚がつかめてきました。また、試し書きとまとめ書きを友だちと見合う時間も設けました。❶早い時期から水書用筆に慣れ親しませたいから。❷「とめ」と「はらい」の力加減や感覚の違いをつかませたいから。はじめに手立て①水書用筆の使用による終筆の理解文字学習の入門期における、水書用筆とICT端末の活用 ~「文字感覚」を養う書写学習をめざした実践~書写千葉県千葉市立花園小学校教諭 天あま野の 愛あい子こ

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