ー9特集❸めあてを意識できるように 一部を空欄に。輝いて生きるための自分デザイン教科の視点 書写使用したワークシート終筆部分を隠した文字 児童に行った意識調査では、「む」や「ぬ」など「むすび」への困難さを示す回答が多くあがりましたが、終筆部分についての回答はみられませんでした。つまり、入学して2ヶ月の段階では、児童はまだ終筆部分(「とめ」「はらい」)まで意識することができていないと考えました。そこで、あえて終筆部分を隠した文字を提示し、終筆部分のみに意識を向けさせるようにしました。「く」と「つ」の終筆部分の書き方について、「とめ」は「ぴた」、「はらい」は「すうっ」と、音声も意識させながら正しい書き方を確認しました。このあと、児童がめあての達成に近づけるように、試し書きを見返して、気をつける箇所を書きこむ時間を設けました。 書写学習のなかでもICT端末を活用した授業展開が求められています。本時は授業のなかで児童が使用する用具が多いので、教師がChromebook内の「発表ノート」を活用し、終筆部分に着目して全ての平仮名を分類する活動を行いました。 「発表ノート」を大型テレビに映し出し、児童が「『こ』の終わりは『とめ』です。」と発表したあと、端末画面(タッチパネル)で「こ」を「とめ」のカテゴリーに動かします。ほかにも「け」であれば、終筆は「はらい」なので「はらい」のカテゴリーに動かします。この活動は児童全員と共有しながら進めました。 学習の終末に行ったことで、児童は「とめ」「はらい」の書き方が他の文字でも応用できることを理解できていました。また、ICT端末を活用したことで、児童が授業の最後まで集中して主体的に取り組む姿が見受けられました。今後は、「発表ノート」を児童のICT端末に送り、1人ずつ課題に取り組むようにすることもできると思いました。 今回の実践ではいくつかの反省点もでましたが、1年間、力を入れて書写指導をしてきた結果、児童は「字形を整える要素」に関する知識が豊富になり、正しい字形を意識して文字を書こうとするようになりました。実践をとおして、低学年から書写指導を熱心に行うことは、非常に意味のあることだと感じました。現在、さまざまなフォントが溢れ、手書きの機会も減っています。しかし、手書き文化が廃れることはないと信じています。子どもたちには、今後ずっと、「正しく整った文字」を書くための知識を増やしたり、意識をもち続けたりしてほしいと、強く願います。❶毎時間使用できるようなレイアウト。❷試し書きとまとめ書きは文字の変容を 比較しやすいように、横に配置。❹ます目はすべて教科書の大きさと同じ。 (25ミリ)❺縦で練習できるように番号をつけた。とめぴたはらいすうっICTを活用した学習の様子授業実践をとおして手立て②ワークシート 5つの工夫手立て③終筆部分を隠した文字の提示手立て④ICT端末を活用した平仮名の分類
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