教育情報誌 学びのチカラ e-na!! vol.6 (小学校版)
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「考える時間」を楽しむ授業デザイン教科の視点 理科特集写真3 一人一人が育てているモンシロチョウ「考える時間」を楽しむ~授業実践から~能を使うことで、細かい部分にも注目できるよさもあります。このとき、「どのような形や色をしているか?」「大きさはどのくらいか?」「キャベツの葉を食べた量やふんの量は?」などの観察の観点を示すことも大切です。(4)予想と比較してモンシロチョウの 成虫になったら観察をして、外に放ちましょう。「元気でね!」と児童はうれしそうな姿を見せます。2階以上の教室の窓から放つと鳥に狙われやすいので、学校・学級園などで放ちましょう。 学習のまとめとして、モンシロチョウがどのような過程で育つのかを、予想と比べながら話し合い、理解を深められるようにします。学習のはじめに立てた大きな目標の「卵からチョウになるまで大切に育てよう!」を達成できたことを学級全体で価値づけます。 小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 理科編には、「(前略)比較しながら調べる活動を通して、(後略)」とあります。本単元の学習はモンシロチョウを育てて終わりではありません。モンシロチョウを育て、観察した経験を、他の昆虫の育ち方と比較してさらに考えることが求められます。そこで、チョウを育てるのと同時に、他の昆虫も飼育するコーナーを設けることをおすすめします(写真5)。学校の敷地内、近隣の公園や雑木林など、地域によって環境の違いはありますが、探すとさまざまな昆虫を見つけることができます(写真6)。児童が採集した昆虫を飼育するのもいいと思います。ここでも、先生がまず飼育してみることが大切です。15えることが大切です。 以下の実践は、教師が児童よりも一歩先に飼育をして、見通しをもった中で計画していきました。(1)モンシロチョウの育て方を考える児童「モンシロチョウを卵から育てたいです。」教師「それはよいですね。」児童「どうやって育てようかな?」児童「エサはキャベツだね。」教師「どうしてですか?」児童「キャベツに穴が空いていたからです。」 これまでの経験からモンシロチョウの育て方を考えさせるとともに、成虫まで観察できるように教師が飼育環境を整えることも必要です。児童が下校したあと、世話ができているか確認します。生き物を扱うので大きな失敗は経験させない配慮も必要です。(2)卵を観察し、これからの育ち方を考える 児童の分の卵を準備します。卵が付いたキャベツの葉を切り離し、教室に持ってきます。児童「いつ幼虫が出てくるのかな?」教師「どのくらいだと思いますか?」 この時点で児童に答えはわかりません。しかし、幼虫が出てくることを想像しながら考えている様子は楽しそうです。児童「毎日(毎時間)チェックが必要だね。」 継続して観察する必要性をもたせます。(3)毎日世話し、変化を記録する(写真4) 自分が育てるモンシロチョウだからこそ、愛着をもてます。登校するとすぐに飼育ケースに向かう姿はほほえましいです。ふ化やさなぎへの変化、成虫の誕生など大きな変化は必ず体験させたいです。 観察カードへの記録はいつもできるとは限りません。ICT機器を活用し、写真や動画として保存しておくことで記録がしやすくなります。授業中に写真や動画を見て観察カードをかくこともできます。写真のズーム機写真4(上)幼虫(下)羽化写真5 ろうかの生き物コーナー 教師用指導書や学校図書館にある昆虫図鑑などを参考にして、さらに教材研究を進めることができます。昆虫が苦手という先生も一度飼育してみると、愛着がもてるかもしれません。児童と一緒にぜひ挑戦してみてください。【参考文献】・『小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 理科編』(文部科学省(平成30年))写真6(左)プールにいたギンヤンマの羽化(右)ミカンの木にいたアゲハの幼虫いろいろな昆虫の育ち方と比べる育ちをまとめる ー

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