「考える時間」を楽しむ授業デザイン教科の視点 生活特集17・秋見つけ隊をやったら観察などがとても楽しくなりました。これからもっといろいろな自然を探したいです。・最初よりも秋を好きになりました。秋と友達になれてよかったです。冬とも友達になりたいです。 「なるほどコーナー」は、クラスごとに学習の過程や子どもの気付き、思いなどをまとめ、掲示するコーナーです。以前の学習をすぐに振り返ったり確認したりすることができるように、目につきやすいクラス内に設置しました。秋への変化を振り返った際には、「夏はどんな色だっけ?」と確認する子どもがいたり、遊ぶものや飾りを作る際には、秋の自然物の特徴やよさをまとめたイメージマップを振り返り、生かそうとしたりする子どもの姿が見られました。 どちらのコーナーも、子どもたちがすすんで活用していました。事前に準備したり意図的に活用したりすることで、これらのコーナーが子どもの中で、自分の考えを深めたり解決したりしていくための1つの選択肢として、定着したことがうかがえました。 3つめは、子どもが自ら『材料や道具を選択できる場』の工夫です。「お宝コーナー」「秋のお宝コーナー」「スペシャルアイテムコーナー」の3つを設置しました。 「お宝コーナー」は、空き箱やカップなど、普段捨ててしまうものなどを置いておき、授業中や休み時間などにも自由に使えるようにしたコーナーです。身近な材料に親しみ、ものへの見方・考え方の幅を広げていくこともねらいとして設置しました。また、秋の単元の間は、「秋のお宝コーナー」を追加で設置し、秋の自然物も使えるようにしたり、それらを使った飾りや作品を置いたりし、秋への興味や活動の意欲を高めていけるようにしました。 「スペシャルアイテムコーナー」には、毛糸やストロー、テープなどの材料の他に、学習に使える道具や教材を置いておきました。その中に、「スペシャル秋カード」「スペシャル計画書」といった、秋の自然物を自由に観察したり、作りたいものの見通しをもてたりできるようなカードをいくつか用意し、選択して使えるようにしました。 秋の自然物で遊ぶ際には、「お宝コーナー」からカップを持ってきて、どんぐりや落ち葉を形や色ごとに分ける子どもや、「秋のお宝コーナー」にあった大きな松ぼっくりを使って、すきま埋めゲームを考え出す子どもたちもいました。 遊ぶものや飾りを作る際には、頭の中を計画書に整理して作り始める子、お宝コーナーの材料を見たり、実際に持ってきて組み合わせたりしながら試行錯誤する子、友達どうしでよい材料があったことを教え合う子など、それぞれに合った使い方で活用している様子が見られました。 授業内での教師の指導、支援はおのずと減り、その分教師は子どもたち一人一人の思いや願い、それらに向けた子どもたちの取り組みの様子をより鮮明に見取ることができます。環境が整っていれば、子ども自身が環境を自分のもちうる手段の1つとして活用し、その子なりに考え主体的に取り組むことができるのです。 単元最後の子どもの振り返りを2つ紹介します。振り返りからも子どもたちが秋という自然とじっくり向き合えたこと、「~したい」という思いがさらにあふれていることが伝わります。自然と繰り返し関わる場や時間を設けたり、子どもの思いや願いを引き出し、それらをできるだけ叶えるようにしたりしていくこと、そしてそれらの活動の中に環境の工夫を取り入れていくことで、子どもたちの主体性が伸びることを実感することができました。自ら考え友達と協力しながら、粘り強く取り組んだり、試行錯誤したりする。そんな子どもたちの主体的な姿がたくさん見られ、思いや願いがあふれる生活科の学習になるように、子どもたちに寄り添いながら工夫し続けていきたいと思います。何を使おう? どう使おう?おわりにー
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