教育情報誌 学びのチカラ e-na!! vol.6 (小学校版)
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❹相手に伝わるように表現を工夫して話す。❺学級の友達の前で発表をする。「考える時間」を楽しむ授業デザイン教科の視点英語ー 特集の視点教科20大切なものかあ。どんなものを伝えようかな。❶学習の見通しをもつ。❷さまざまな文房具の名前に慣れ親しむ。❸持っているものを伝えたり、尋ねたりする表現に慣れ親しむ。 本単元では、“I have ~.”や“Do you have ~?”を用いて、自分が持っているものを伝えたり、相手が持っているものを尋ねたりします。『Let’s Try! 2』では文房具が取り上げられていることから、これを素材にすることにしました。   文房具は誰もが持っているものですから、私は、最後の発表で「へえ、Aさんはそんなものを持っているんだ。僕は持ってないや。」「私もBさんと同じものを持っている。」など、つい伝えたくなったり聞きたくなったりするような授業展開にして、児童の「伝えたい」という気持ちを高めたいと考えました。また、指導者として、この活動を通して相互理解を深め、クラスの雰囲気をさらによくしていきたいというねらいをもち、単元を構成していきました。 本単元では以下のような目標を設定しました。学級の友達に自分の大切なものを紹介することで、自分のことをよく知ってもらい、友達の大切なものを聞くことで、友達のことをさらによく知ろう。 すると、児童たちはこのように思考を働かせます。 大切なものは一人一人異なるため、どんな語彙い、表現、または表現方法を使うのか、児童自身が選ぶ余地が生まれます。児童たちは何を紹介しようかと、わくわくしながら考えをふくらませていきました。 以下に本単元の学習の過程を記します。 学習の見通しをもたせたり(上記学習の過程①)、目的・場面・状況等を児童と共有したりするために、まず指導者である私の大切なものを紹介しました。児童は興味津々の様子で聞いてくれました。 次に「みんなはどんな大切なものを紹介したいですか。」と問いかけると、児童は「英語だと言えない。」と困りだします。そこで「英語で言いたいけど言えない言葉はありますか。」と投げかけ、クラス全体でどう言えばよいかを考えます。 学習の過程②では、実際の授業では「電車のおもちゃ」の言い方を知りたいという児童が手を上げました。ここですぐに“toy train”と教えることはせず、「おもちゃがたくさん出てくる有名なアニメの名前を知っていますか。」「英語で電車をなんと言うか聞いたことがある人はいませんか。」など、児童に身近なものをヒントに、どんな言い方なのか考えさせる場面を設けました。 なお、終末の発表(同⑤)まで大切なものを秘密にしておく必要はなく、児童の考えは学級でどんどん共有していきました。そうすることで「話し手だけが表現を知っていて、聞き手は何のことかわからない」という場面がなくなりました。 大切なものが言えるようになり、持っているものを伝えたり、尋ねたりすることができるようになってきた段階(同③)で、聞き手を意識した発表になるように、以下のような問いかけをしました。友達により詳しく伝えるための工夫を考えていきたいと思います。自分の大切なものにどのような情報を付け加えるとよいと思いますか。 すると児童が「色、形、手触り」と答えたので、その発言をもとに「色」、「形」、softやhardなど「感触」の言い方を振り返りました。さらに、私が日頃から児童によく“Do you like ~?”と聞いているためか、「発表のときに、『持っていますか』以外に、『好きですか』と聞いてもいいですか。」という声も上がりました(同④)。 最終の学級の友達への発表(同⑤)に向けては、一人で発表内容を考えていくのではなく、ペアでのやり取りを中心に授業を進めていきました。そのため、どんな表現を使えばよいかを教え合う姿が多く児童の「伝えたい」気持ちを高め相互理解を深める授業~4年生『Let’s Try! 2』(文部科学省) Unit 5“Do you have a pen?”の実践より~活動を通してお互いを知ることを目標に発問をきっかけに、よりよく伝わる工夫を発問とTeacher Talkの工夫で児童自ら思考する授業を~「伝えたいから考える」「やり取りで考えを深める」外国語の実践~東京都目黒区立東山小学校主任教諭 飯いい田だ 一いっ平ぺい英語

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