教育情報誌 学びのチカラ e-na!! vol.6 (小学校版)
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❶見通しをもち、学習計画を立てる。❷入りたい部活を伝え合う。❸楽しみたい行事を伝え合う。❹がんばりたい教科を伝え合う。❺どんな人になりたいかを伝え合う。❻スピーチの内容の整理をする。❼中学校の先生へ発表する。❽学習の振り返りを行う。「考える時間」を楽しむ授業デザイン教科の視点 英語A I want to join the baseball team because I can play baseball well. Can you play baseball? I went to Nikko. It was so fun. I want to enjoy the school trip. I want to study English because I want to talk with many people from other countries. I want to be a doctor because I want to help people.B I want to join the baseball team because I can play baseball well. My hero is Otani Shohei. He is a major league player. Do you know any major league players? I want to be a major league player. My treasure is my baseball bat. I play baseball on Wednesdays and Saturdays. Let’s play baseball together. 児童からは、Aのスピーチは「広く浅くタイプ」でいろいろなことを楽しみにしていることが伝わった、Bのスピーチは「深掘りタイプ」でいかに野球を好きかが伝わったという声が出ました。これをもとに、自分はどちらのタイプのスピーチにするかの方向性を定めさせ、内容の再構築を行っていきました。 中学校の先生への発表を経て(左段学習の過程⑦)、その後の振り返り(同⑧)では、「中学校で数学をがんばりたいと伝えるとき、理由を“I don’t like math.”としていました。でも、印象がよくないと感じ、苦手であるという表現の“I am not good at math.”に変えました。」など、自ら思考を働かせた場面を垣間見ることもできました。特集21今まで学んできたことを活かして、4月からお世話になる中学校の英語の先生に中学校生活への期待を伝えよう。あこがれの中学校生活。どんなことをやりたいかな。今までに学んだ表現を振り返って、自分の気持ちを伝えるために使えそうな表現はありませんか。(ペアでのやり取り後に)友達の表現でまねしたい表現はありましたか。見られました。児童は友達からの教えを活かし、自ら考えながらスピーチを完成させていきました。 6年生の最終単元では、“I want to join the ~.”や“I want to enjoy ~.”を用い、入りたい部活や楽しみたい学校行事など、中学校生活への期待を伝え合います。卒業が視野に入る時期であり、このスピーチはいわば小学校で学んだ内容の集大成です。そこで単元の終末では、4月からお世話になる中学校英語科の先生に、スピーチを直接聞いてもらおうと考えました。本単元では以下のような目標を設定しました。 児童は以下のように考えます。 外国語活動から外国語科へ、合計4年間学んできた児童です。この時期になると単元計画も児童主体で組み立てることができるようになりました。学習の過程は以下の通りです。 中学校生活というテーマからは、「部活」という言葉がすぐに出てきました。そこで部活をテーマに次のようなやり取りを、ペアで相手を替えながら何度も行いました(上記学習の過程②~③)。A:What club do you want to join?B:I want to join the baseball team. A:Why? B:I can play baseball well. 児童は、ペアでのやり取りを軸に表現を習得しながら、どのような理由を言えるか考えていきました。また、それをクラス内で共有し、表現の幅を増やしていきました。そのために、次のような発問をしました。 指導者としては「自分の思いに合わせて表現を選んでほしい」という願いがあります。そこで、このように既習表現の活用や、友達の表現で参考になったものをどんどん取り入れることを促す発問を繰り返し行い、内容のブラッシュアップを図りました。 学習の過程⑥では、児童に以下のような2つのモデルスピーチを聞かせ、それぞれどのようなことが伝わったかを尋ねました(各スピーチ内容の特徴については下線部を参照)。 このように、目的・場面・状況の明確な設定とそれらの児童との共有、教師による発問やモデルスピーチの工夫によって、児童が「考える」時間を楽しむ授業が実現できると感じています。これからも、児童自らが思考する外国語の授業をつくっていきたいと思います。中学校の先生へのスピーチを目標に考える時間を楽しむ~6年生外国語科 最終単元の実践より~Teacher Talkの工夫でスピーチのタイプまで考えさせるー

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