子どもたち一人一人の見取りの実践鈴木先生子どもたちの状況をふだんの様子に加え、さまざまなツールやアンケート等から見取り、よりよい学級集団づくりにつなげようと取り組んできました。子どもたちの状況理解には、子どもたちの声なき声を拾い上げることが大切であるとされていますが、実際には、それが簡単ではないことも感じていました。そのような中、結-ENは裏づけをもって、子どもたちの言動からその背景、困り感、に注目することができるシステムであるとうかがい、集団の中で困難を抱える子どもたちに、より適切なアプローチができるのではないかと思い、トライアルに踏み出しました。鈴木先生本校では担任だけではなく、複数の教員で子どもの様子を共有しながらデータを入力していく体制を組みました。他の教員と話すことで、一人の判断よりも実態に即したデータを選択できると考えたからです。複数の教員が入力することで、異なる見方があることに気づけたり、自分の見取りを強化したりして、子どもへの理解を深めていくようでした。また、支援策が複数提案されるので、今までと異なる支援策にも挑戦してみるなど、支援の幅が広がるというメリットもあります。従来の支援策ではあまり効果がみられないと感じていた教員が、結-ENでも同様の支援策が示されたことで、「これまでの策でよかったんだ、もう少し継続してみよう」と、支援策を再評価することもできました。堀先生経験年数にかかわらず、児童の見取りや支援について相談しやすくなっているように思います。支援・指導の迷いを相談できるようになるには、ふだんから、子どもたちへの気づきを気軽に話しあえる関係性があることが大切だと思っています。現在は、担任だけではなく、複数の教員が同じ視点で、子どもの状況に応じた声かけができるようになってきました。鈴木先生これまでの指導・支援策の立案は、ほぼ経験則の中で行われてきました。それが結-EN導入により、見方や対応策について共通の視点で検討することができ、子どもたちの変化も一緒に見いだせるようになってきていると思います。若手の教員も、今まで以上に児童理解を深め、妥当な手だてを講じられるようになるという点で、得るものが大きいのではないかと思います。感覚を伝えることは難しいですが、数値化されて見えてくると伝えることができますから。こういう経験は、どの教員にとっても大きな糧になっていくのではと思います。教員みんなで情報や意見を交換していけることが大切だと考えています。堀先生私たちがこのように対応していくことで、学校が多くの大人から自分を見てもらえている、子どもたちにとって居場所がたくさんある、という安心できる場所になっていけると感じています。鈴木先生子どもの気になる言動に対し「なぜなんだろう、この子をもっと理解したい」と思えると「私たちにできることはないだろうか」と考えるはずです。自分の子どもの見方や指導・支援は正しいと思い込まずに、「待てよ、みんなの目で見てみよう」となると指導・支援も変われます。そういう意味でも、結-ENは有効ではないかと思います。*両校は教育出版株式会社がYui Connection株式会社とともに普及促進を進めている 『小中学校学級経営支援システム「結-EN」』のトライアルを実施しています。左:鈴木華奈子先生右:堀康子先生結-ENは子どもたち一人一人の困りごとを見える化できるシステムということですが、トライアルを始める前の、学校やクラス、あるいは先生がたが抱えておられた課題についてお聞かせいただけますでしょうか。実際の取り組みについて教えてください。また、個々に関するデータについてはどう感じていらっしゃいますか。30実際に入力されてお感じになったことはありますか。 まずは新潟県燕市立燕東小学校の校長、鈴木華奈子先生と堀康子先生のお話です。子どもたち一人一人の見取りの実践~アセスメントツールを搭載した「結-EN」トライアル実施リポート~学校現場で進む児童・生徒の多様化への具体的な取り組みについてご紹介します。お話をおうかがいしたのは、児童・生徒の現状把握から手だてまでを実践できる「結-EN」を活用している2校の先生がたです。
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