子どもたち一人一人の見取りの実践31田中先生本校は、児童数の減少から、すべての学年が1クラス40名で2クラスになっており、学級担任が一人一人の子どもに目を配っていくのがなかなか難しい状況です。「学校は楽しい」と感じている児童が8割以上いる一方で、学習意欲が低い児童の割合も高く、自分から発表したり考えを伝えることが苦手だったり、自尊感情が育まれていない子どもも少なからずいると感じております。田中先生コロナ禍の3年間が今の子どもたちの能力育成に大きく影響を及ぼしていると思います。中にはイメージを沸かせるのがすごく難しかったり、伝わりにくかったりする子どももいますね。コミュニケーション不足からのトラブルも多くなっているなと感じます。教職員は20代から30代の子育て世代が多いです。子どもたちと同様に、コミュニケーションがうまくいかず、お互いに意図が伝わっていなかったり、指導方法を合わせられなかったりということがありますね。田中先生学級担任が日常的に子どもたちを支援するための具体的なプランが、すぐに得られるツールだということで申し込んでみました。田中先生そうです。チェック項目数は82問ですね。学級担任が自分のパソコンにインストールして利用することができます。自分の判断でいつでもチェックできるというのがいちばんの特長ですね。田中先生はい。出てきた支援プランに沿って、まず担任が自分でできることをし、評価の際の材料として、支援コーディネーターに持っていったりしています。今までは「どうしたらいいでしょうか?」と問いかけるしかなかったのですが、具体的な話に展開させやすくなりましたね。田中先生まずは一学期にそれぞれのクラスで気になる子どもを一人設定してデータを入力し、出てきたプランを見て、あとはそれぞれのタイミングで自分ができる手だてについて調べるということを続けています。田中先生手だてを講じるためのアイディアの一つになるとか、提示されたプランの中のこれとこれに取り組んでみよう、などといった声が聞こえてきます。田中先生そうですね。なにか問題が起こった際、対策会議から始めていては手だてを考える時間が取れなくなってしまい、いいアイディアが出てこないというのがいちばんの問題でした。結-ENはデータを入力するだけで適切な支援プランが提示され、すぐにやってみることができるという点で、とても便利なツールだと思います。田中先生多彩な教育プランの中から、客観的なデータに基づいた適切なプランが提案されるので、対象の児童だけではなくその他の子どもにも有効だと思います。多くの児童にとってわかりやすい授業ができるようになるなど、プラスにはたらいているのではないかと感じています。データベースになるプランがもっと増え、どの学校でも使えるツールの一つとして提供されるようになったら、すごくいいんじゃないでしょうか。田中先生そうですね。手だてを講じるための一つの手段として、先生たちどうしのコミュニケーションの機会が増えていったら、校内でもっと活用が進むのかなと思います。田中先生若い教職員にかぎらず、どの世代もまんべんなく活用している印象があります。世代を問わず、このプランをやってみたとか、あのプランをどう思うかというような、教職員どうしの共通の話題になっていると思います。田中健一郎先生学校の現状についてお聞かせいただけますか。子どもたちや先生どうしのコミュニケーションの状況についてはいかがですか。結-ENトライアルまでの経緯について、教えていただけますか。結-ENは、決まった項目に沿って子どもたちの状況をチェックすると聞きました。チェック項目をもとにフィードバックされたプランを参考にされているのですね。支援プランのフィードバックは、どれくらいの期間続けていらっしゃいますか。具体的な成果について、先生がたからのお声はいかがでしょうか。手だてを講じるための一つの手段になっているということですね。結-EN は、700以上の教育プランから適切なプランを検索して提案するシステムということですが、その点についてはいかがですか。開発者のかたからは、これからもデータベースとなるプランを定期的に増やしていくというお話もうかがっています。これからも続けて活用したいとお考えですか。20代から30代の先生が多いとのことでしたが、若い先生がたからのお声はいかがでしょうか。 次に大阪府摂津市立別府小学校の校長、田中健一郎先生のお話です。
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