教育情報誌 学びのチカラ e-na!! vol.7 (小学校版)
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の視点教科算数カシャッパシャ教科の視点 日常生活の中には算数に関係することが多いことに気づき、算数によりいっそう関心をもてるようにするためにも、子どもが目的意識をもって学べる授業をつくることが大切だと考えています。 2023年11月に行われた算数教育に関する全国大会で、私は3年生の「三角形」の単元で研究授業を行いました。本稿では、この研究授業に向けて7月頃から準備した「ガーランドで使う三角形をつくろう」の教材開発や授業づくりの過程を振り返り、大切にしたことや工夫したことなどをご紹介します。12 私が担任している学級には、図形をかいたりつくったりする活動がとても好きな子どもが多く、そのような活動には一人一人が目を輝かせて取り組んでいます。「三角形」の導入教材を調べてみると、構成要素である辺の長さに着目できるようなさまざまな工夫があり、教材も多様であることがわかりました。ストローなどを用いて三角形をつくる活動では、長さごとに色分けしたストローを使うことで、つくった三角形の仲間分けがしやすくなります。ただ、実際に授業で作業を行うことを考えると、丸みを帯びた形になってしまったり、操作に時間がかかってしまったりする場合も想定されます。円などを用いて三角形をかく活動では、3点を自ら決め直線で結ぶため三角形を簡単に構成できますが、自由度が高い分、仲間分けの視点が多様になることが想定されます。これらを踏まえながら、子どもたちがより目的意識をもてる導入場面を設定することを自分自身の課題としました。今までどんな三角形をつくったかな?子どもたちが取り組みたくなる活動ってなんだろう?身のまわりにはどんな三角形があるかな?1 導入教材の分析2 さまざまな三角形と出会い、導入教材を探す①街を歩いて三角形を見つける 「子どもたちが取り組みたくなる活動とは何か」を考えることが私にとっての夏休みの課題となりました。街を歩いて見つけたさまざまな三角形の写真を撮り、多くの三角形と出会うことができました。例えば道路標識の形やエレベーター内にあるボタンのマークなど、さまざまなところで使われていることもわかりました。②三角形との関わりを振り返る ふと「三角形をつくった経験はないかな」と思い、バンコク日本人学校派遣時(2019〜2022年)に、タイの現地校との交流でかぶとをつくったことを思い出しました。さらに、息子の誕生日会で部屋にガーランドを飾ったことも思い出しました。当時の写真を振り返ると、「あれ、この飾りって三角形では? ガーランドって二等辺三角形が多くない?」と教材のイメージがぱっと浮かび上がりました。インターネットで検索をすると二等辺三角形のものが多く、ガーランドづくりの教材を開発できそうだと思いました。もう夏休みも終わる8月下旬のことでした。子どもが目的意識をもって学ぶ授業を目ざして~教材「ガーランドで使う三角形をつくろう」ができるまで~東京学芸大学附属竹早小学校教諭 鈴すず木き 侑ゆう算数

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