教育情報誌 学びのチカラ e-na!! vol.7 (小学校版)
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の視点教科理科教科の視点 元来、子どもたちにとって自然の事物・現象に関わることは、わくわくすることだと思いますが、私は理科の授業でも子どもたちがそのわくわく感をもって学習を進められるようにしたいと考えています。そのことは、子どもの主体的な学びにつながります。そして何より、そのような学びの姿勢こそが、私たちが子どもたちに身につけさせたい資質・能力の育成に大きく関わるはずです。 そこで大切にしたいのは、教師の単元指導計画です。単元指導計画の中に、子どもがわくわくするようなポイントをつくる授業デザイン力が求められます。従来から理科で大切にされてきた問題解決の過程を通して、どのようにわくわくポイントをつくっていくとよいのか、第6学年「人や他の動物の体」の実践を例に紹介します。 単元の導入では、まず単元に関わる自然の事物・現象に向き合う時間を設定します。そこで、子どもたちの気づきや疑問を引き出し、単元全体を見通すことのできる学習問題をつくっていきます。学習の見通しをもつことで、子どもたちは、「これからこんな学習ができそうだ」「楽しそうだ」というようなわくわく感をもつことができます。 本単元の導入では、動物たちが自然界で活動する様子の映像を見せた後に、「人や他の動物が生きるのに必要なものは何だろう」と問いました。そこから、空気や水、食べ物に着目し、それらが体の中に取り入れられた後にどうなるのかについて考えを出し合いました。そして、子どもたちの気づきや疑問をもとに、『人や動物は生きるためにどのような体の働きをしているのだろうか』という学習問題を設定しました。また、「単元の終わりには、人と他の動物の体を比べる活動を考えているよ」と伝えると、子どもたちから「どんなことができるのかな」「もしかして……」といった期待感に満ちた声があがりました。14 子どもたちにとって友達と学び合うことは、学校ならではのわくわくすることではないでしょうか。そして、友達と協働的に問題解決していく学習の展開は、理科という教科の魅力の一つだと思います。お互いの考えの共有場面、友達と協力して行う実験場面、他グループの実験結果を知る結果の整理場面など、理科には問題解決の過程を通して友達と協働的に学ぶ場面が多くあります。特に、実験器具が各グループに1セット用意されてグループで問題解決していくことが多い実験場面では、協働的に学ぶ必要性が出てきます。 本単元でも、吸い込む空気と吐いた空気の成分の割合を比較する実験において、グループで1セットの実験器具を扱いました。グループ内では、実験を行う人、実験を支える人、結果を記録する人など、それぞれの役割に分かれて実験を行いました。実験中には、自然と子どもたち同士で対話が生まれ、実験結果が明らかになったときには、驚きや感動を共有していました。また、各グループの結果は、ICT機器を活用することで簡単に共有ができ、学級の全員で協働的に問題解決することができます。単元のゴールGoogleスプレッドシートで共有した各班の実験結果わくわくポイント① 学習の見通しをもつわくわくポイントのある授業デザインわくわくポイント② 友達と学び合う子どもがわくわくする授業づくり東京都町田市立町田第一小学校教諭 川かわ上かみ 博ひろ行ゆき理科

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