教育情報誌 学びのチカラ e-na!! vol.7 (小学校版)
15/36

理科教科の視点・・抵抗感のある子どももいるので、事前に保護者に周知し、希望者を対象とする。(本実践では、具体物の観察か学習者用タブレット端末などを使った調べ学習かを選択できるようにしました。)・・ネガティブな反応を示す子どもがいた場合に備え、適切な対応・指導ができるように準備しておく。・・生命尊重の精神に十分配慮する。・・観察を行う際は、必ず使い捨てのマスクとビニル手袋を着用させる。・・バットの上にラップフィルムを敷き、液が飛び散らないようにする。教科書の二次元コードから読み込んだ資料や動画、人体模型を使って調べている様子わくわくポイント④ 具体物に触れる 学習を進める中で、子どもたちが特に興味・関心をもつところ、つまりわくわくする内容はそれぞれに異なります。そこで、各自が真に追究したいことを学ぶ個別最適な学びの時間を保障します。もちろん授業時間内だけでは、十分な学びを得る時間にはならないかもしれませんが、それが授業外でも自主的に学習するきっかけになればよいと思います。 本単元では、人が呼吸や食事をするときの体の働きやつくりについて、各々が選択した学習方法で調べる時間を設定しました。例えば、教科書や学習者用タブレット端末を活用して調べたり、人体模型を観察したりし、自分の興味・関心に合わせて学習を進めました。このとき、教師が一律に資料を用意しなくても、例えば、教科書には、イラスト付きの分かりやすい資料や、より詳しい情報が得られるウェブサイトや動画につながる二次元コードがあります。そして、学習者用タブレット端末を使えば、さらに幅広く学習内容について調べることができます。特に本単元は、内容的に抵抗感のある子どもがいる可能性もあるため、子どもたち自身で学習内容を選択することにより、安心感をもって学習に取り組むことができます。 具体物に触れることができるのも理科の魅力です。具体物を見たときの子どもたちの表情はとてもいきいきとしますし、子どもたちにとって強く印象に残るのではないでしょうか。そのような場面をなるべく多く単元指導計画の中に入れたいと考えています。 本単元では、人の体のつくりや働きについて学習した後に、煮干しの解剖をしたり、豚や鶏の内臓の観察をしたりしました。この活動を行うにあたっては、次のような心理的事項、衛生面、安全面に十分に留意しました。 子どもたちの反応として、特に、豚の内臓については、人間の内臓と大きさが似ているので、これまでイラストで見てきたようなものが目の前にあるインパクトは大きかったようです。実際に触ってみると、「心臓は他と比べて硬くてしっかりしている」「小腸は本当に長い! これが体に入っているなんてすごい」など感動の声が多くあがりました。また、魚や鶏の内臓の大きさに着目し、「それぞれの生物が体の大きさに合わせた内臓をもっている」といった、生物の体のつくりの巧みさや共通性についても実感を伴った理解をしていました。 単元を通して、子どもたちがいきいきと学ぶ姿を見ることができました。本稿では、第6学年「人や他の動物の体」を通して、わくわくポイントのある授業デザインについて紹介しましたが、すでにお分かりのように特別なことばかりではありません。ちょっとした授業展開や教材・教具を教師が工夫することで、子どもたちにとってはそれがわくわくする学びになると考えます。そして、子どもたちの実態や思いを考えながら、単元指導計画を立てて、授業デザインをしていくと、自ずと教師である自分自身もわくわくしてきます。私自身、これからもそのような授業を繰り返し、理科が好きな子どもたちを育てられたらと思います。観察した具体物(内臓)15わくわくポイント③ 個人の興味・関心を追究するおわりに

元のページ  ../index.html#15

このブックを見る