教育情報誌 学びのチカラ e-na!! vol.7 (小学校版)
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生活教科の視点編集部より生活科の黎明期に奮闘された先生がたの「生活科 黎明期からの発信(仮題)」を製作予定です。関わりの中で重ねあわせて考えたことは、その子の見方・考え方を養っていきます。主観的に考え、自分なりの表現で解を導いていくことが、科学的な見方・考え方の基礎を養い、ひいては、総合的な学習の時間で求められる、概念形成に大きな影響を与えると考えます。例えば、以前指導していたように「これがアサガオの双葉で、これが本葉です。」と教えるなど、客観的な事実だけを学んでも、科学的な見方・考え方の基礎は養えないと考えています。 生活科の授業で教科書をどの程度使っているかどうかについては、地域差、学校差、個人差があるかと思います。差ができてしまうのは、初期に言われていた「教科書のない教科」というのが、一つのネックになっている気がします。そのような中で、私は近年、「教科書を使ってください。」と言ってきました。教科書には、育てたい資質や能力、活動のきっかけや子どもの思いのヒントなどが示されているからです。 平成4年に登場した生活科の教科書は、図鑑的なイメージが強かったり、地方ごとの季節感に合わなかったり、イラストだけが描かれ、活動がどのような学びにつながっていくのかがわからなかったりするなど、活用方法がイメージしにくいものでした。 では、現在の教科書はどうでしょうか。現在の教科書には、まねることができる授業のヒントがたくさんあるのです。私は、「魂が抜けた活動するより、教科書のとおりにやったほうがよっぽどよいと思うよ。」と周りの先生がたに話してきました。教科書どおりとは何をさしているかというと、挿絵にある環境構成であったり、カードの体裁や、板書の例であったりなどです。他にも、現在の教科書と昔の教科書を「遊びの場面」で比べてみましょう(写真1、2参照)。 平成4年度版では、子どもたちが楽しく遊んでいる様子が描かれ、活動のみが前面に出ています。一方で、令和6年度版では、教室の環境構成(会の流れのプログラム、机の安全な配置など)や、表現活動例(カード例、子どもどうしで評価しあう姿など)も示されています。活動のみではなく、リード文やキャラクターの言葉、表現活動例などからも、この学習で育てたい資質や能力を読み取ることができるようになっているのです。 いま一度、教科書と指導書にあたり、活動の魂を見いだすことができることを願っています。写真1 平成4年度版生活教科書(教育出版)写真2 令和6年度版生活教科書(教育出版) ここまで、生活科が始まった時から、現在まで継続して言われてきた課題と、これまでの経験からの解決案も述べてきました。これらの内容について、他にはどのように解決が図られているでしょうか。できれば、生活科に日々取り組む先生がたと意見や実践例を交わしながら、生活科の授業の視点が膨らむようなお話ができればと思います。難しい話ではなく、生活科の学習がすっきりと見えるような情報交流を実現させ、生活科をよい方向に導ければと思っています。17教科書の活用をどう考えるかこれからの世代に願うこと

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