教育情報誌 学びのチカラ e-na!! vol.7 (小学校版)
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の視点教科道徳教科の視点正解病とは、正解があると思い込むことで仕事に支障をきたす、社会人によく見られる思考や行動の傾向です。〔中略〕正解病によって引き起こされる症状は多岐に渡ります。もっとも重篤なのが、自分の頭で考える力(思考力)の低下です。思考停止どこかに正解があると思い込み、自分の頭で考えない待ち体質誰かに正解を教えてもらうまで、自分からは行動しない胆力不足正解がわからない未知の仕事を嫌がり、簡単な仕事ばかり選ぶ 「小さな道徳授業」とは、鈴すず木き健けん二じ氏(愛知教育大学)が提唱する5~15分程度でできる道徳授業です。教師が気になった素材(本のタイトルやポスターに書かれている言葉、子どもの姿など)を教材として提示し、二つか三つ発問をするというシンプルな構成の授業です。教師が一方的に話すのではなく、「小さな道徳授業」をとおして子どもたちが考えをめぐらすことで、教師の思いや大切にしたい価値観を効果的に伝えることができます。 鈴木氏は、「小さな道徳授業」の活用場面について、次のような場面をあげています。・朝の会  ・帰りの会 ・学年集会 ・全校朝会 ・学校行事 ・道徳の授業 私はこれらの場面に加えて、道徳以外の教科の授業にも「小さな道徳授業」を取り入れていました。 以前私は中学校で勤務をしていました。中学校では、複数の学級で自分の担当する教科の授業を行います。自分が担任していない学級にも、授業で大切にしたい思いや目ざす子どもたちの姿を伝えるためには、自分の担当教科の授業で「小さな道徳授業」を取り入れることが効果的だと考え、実践をしていました。 今は小学校でも教科担任制を取り入れている学校があります。自分が担当する教科の授業で「小さな道徳授業」を行うことで、担任している学級だけでなく、学年または学校全体で教師の思いを共有することができます。 以下、どんな「小さな道徳授業」を他教科の授業で行ってきたのか、具体的な実践をもとに述べていきます。 あるウェブサイトには、「正解病:症状と治療法」と22いう記事があります。「正解病」について、記事の中では次のように書かれていました。 また、正解病の症状として、などが示されていました。 つまり、「正解病」とは、1+1=2のように答えが一つに決まる問題ではなく、「多数決には従うべきか?」や「この本にキャッチコピーをつけるとしたら?」のような答えが一つに決まらない問題に対して、自分で考えようとせず、すぐに他の人に頼ったり、考えることを諦めたりすることをさしています。 子どもたちの中にも、覚えた知識を答えることはできても、自分の考えを言葉にすることが苦手な子がいます。また、すぐに答えにたどり着けないことがわかると、考えることを諦めて周りの人に聞いたり、インターネットに頼ったりする子もいます。 そこで、「すぐに正解を求めるのではなく、自分で考えることが大切だということに気づき、さまざまな課題に対して自分で考えようとする意識を高める」というねらいのもと、国語科のディベートや社会科の探究的な学習など、自分の頭で考えて意見を述べる力が必要になる授業の前に、次のような「小さな道徳授業」を行いました。「小さな道徳授業」とは他教科の授業にも「小さな道徳授業」を実践①「自分で考える力」を育てる学びに向かう力を育てる「小さな道徳授業」愛知県豊川市立桜木小学校教諭 平ひら井い 百ゆ合り絵え道徳

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