教育情報誌 学びのチカラ e-na!! vol.7 (小学校版)
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❷    に入る言葉を提示した後、これはあるパソコン教室の貼り紙であることを伝え、「この続きには、どんな呼びかけが書かれているのでしょうか」と問いかける。❷「『正解病』とは何かわかりましたか」と問いかけ、子どもたちの言葉をつかいながら、正解病について全体で共有する。❸「同じことを何回でも聞いて下さい」という呼びかけを提示した後、「さらに素敵な言葉が書かれていました」と言って、「笑顔でおこたえします」という言葉を提示する。 そして、「この1年、私も『笑顔でおこたえします』をモットーにして、過ごしていきたいです。そして、この学級にもそんな人が増えるとうれしいです」と教師の思いを伝える。❹「『正解病』にならないための方法があるのでしょうか」と問い、子どもたちの考えを聞く。その後、ウェブサイトの記事に書かれていた治療法や予防法を紹介する。道徳教科の視点❸「『正解病』になると、何か困ることがあるのでしょうか」と問い、困ることがあると思う人は「〇」、困ることはないと思う人は「×」を書かせ、それぞれの理由を聞く。 あるパソコン教室の前を通ったとき、このような貼り紙を見つけました。 この貼り紙を見て特に素敵だと感じたのは、「笑顔でおこたえします」という言葉です。わからないことがあったとき、どんなときでも笑顔でこたえてくれる先生や学級の仲間がいたら、子どもたちはきっと安心して質問することができます。そんな先生や学級を目ざすために、算数の授業開きでこの貼り紙を素材にした「小さな道徳授業」を行いました。写真:(株)エルエーシーコーポレーション(マナカル) ※記憶に対する時間の経過と記憶の関係を表した曲線【引用・参考文献】・鈴木健二:『道徳授業をおもしろくする! 子どもの心に響く授業づくりの極意』教育出版(2017)・鈴木健二編著:『学級経営に生きる5分でできる小さな道徳授業2』日本標準(2021)・株式会社ベイジ(2023)「正解病:症状と治療法」https://baigie.me/officialblog/2023/01/30/correct_disease/(2024.7.31閲覧) このように、教師が大切にしたい思いを「小さな道徳授業」をとおして伝えることで、子どもたちにより印象づけることができます。 また、この「小さな道徳授業」は、教師の姿勢や学級への願いを伝えるための展開となっていますが、この素材と「エビングハウスの忘却曲線」※を組み合わせることで、さらに発展させて使うこともできます。この貼り紙をきっかけに、「わからないのもすぐ忘れるのも、当たり前だからしかたがない」と開き直るのではなく、「当たり前だからこそ繰り返し学習することに意味がある」ということにも気づかせられるでしょう。 各教科の授業開きや単元の導入の授業、テストの前後など、子どもたちがその時期に必要な学びに向かう力は何か、その意欲を高めるにはどうしたらよいのかを考え、その目的を達成できるような「小さな道徳授業」を行うことで、教科の授業をとおして学びに向かう力を育てることができます。みなさんもさまざまな授業の中に「小さな道徳授業」を取り入れてみてはいかがでしょうか。23【小さな道徳授業】❶「正解病」という言葉を提示し、正解病とは何かを予想させた後、正解病の症状の一部を紹介する。【小さな道徳授業】❶「   のは当たり前    のも当たり前」と提示し、   にはどんな言葉が入りそうか予想させる。実践②安心して質問できる雰囲気をつくる

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