教育情報誌 学びのチカラ e-na!! vol.7 (小学校版)
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❶挙手やノート提出の回数などの形式的な側面に着目❷形式面ではなく、意思的な側面として、子どもたちが粘り強く取り組んでいる様子や、自らの学習を調整しようとしている様子を捉えること。❸国語科で学ぶ内容に関する観点「知識・技能」「思考・判断・表現」と結びついたものとして「主体的に学習に取り組む態度」を捉えること。の視点教科国語教科の視点 「話すこと・聞くこと」,「書くこと」,「読むこと」の各領域において,日常生活における人との関わりの中で伝え合う力を高め,自分の思いや考えを広げている。 具体的な評価方法としては、ペーパーテストのみならず、論述やレポートの作成、発表、グループでの話合い、作品の制作や表現等の多様な活動を取り入れたり、それらを集めたポートフォリオを活用したりするなど評価方法を工夫することが考えられる。 言葉を通じて積極的に人と関わったり,思いや考えを広げたりしながら,言葉がもつよさを認識しようとしているとともに,言語感覚を養い,言葉をよりよく使おうとしている。するのではないこと。 2019(平成31)年に、新しい指導要録と学習評価のあり方が文部科学省から示され、各教科の評価の観点は、「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3つとなりました。 このうち、「思考・判断・表現」と「主体的に学習に取り組む態度」については、いわゆるペーパーテストだけで評価することが難しく、いったいどのように評価したらよいか、困惑する声も聞かれるところです。 そこで、本稿では、国語科の「思考・判断・表現」と「主体的に学習に取り組む態度」の評価にあたって重要となるポイントについて考えてみます。 観点「思考・判断・表現」は、これからの学校教育において育みたい資質・能力のうち、「思考力・判断力・表現力等」がどのように育成されているのかを評価するものです。 文部科学省の通知によると、国語科における、この観点及びその趣旨は以下のように示されています。 では、具体的にどんな方法が考えられるでしょうか。中央教育審議会の報告には以下のように書かれています。 これらの多様な評価方法をとる際、重要なポイントは、子どもたちが「思考力・判断力・表現力等」を伸ばすことができるような課題づくりをするということです。例えば、作品の理解を深めるために、原典との比較をしてみたり、同じ作者の別の作品と読み比べて共通点や相違点を探ったりすること、あるいは同じ主題について相反する主張をもつ文章を読み比べたりすることも考えられます。子どもたちから出てきた疑問をもとに、課題を設定することにより、作品への理解を深めていくという場合も考えられるでしょう。 いずれにせよ、ただ論述したり発表したりする機会を設ければよいというわけではなく、子どもたちが作品の理解を深めたり、自分の思いや考えを広げたりすることができるような課題づくりが「思考・判断・表現」の評価において重要になってきます。 観点「主体的に学習に取り組む態度」は、「学びに向かう力、人間性等」を評価するものです。ただし、本来「学びに向かう力、人間性等」には、観点別の評価にはなじまない「感性や思いやりなど」も含まれるため、あくまで観点別評価になじむ範囲に限定されたものとして「主体的に学習に取り組む態度」は位置づけられています。 そうはいっても、「態度」そのものを観点別で評価することだって難しいのではないでしょうか。そこで、先の文部科学省の通知を読んでみると、国語科では、以下のような様子を捉えることが必要とされています。 ここで、留意すべきポイントは以下の3つです。 すなわち、学習内容から切り離された授業態度のようなものを対象とするのではなく、「言葉がもつよさ」を認識することと結びつけて態度を捉えることが重視されているのです。6新しい学習評価の観点「思考・判断・表現」の課題づくり「主体的に学習に取り組む態度」とは国語科における「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の評価のポイント京都教育大学教授 樋ひ口ぐち とみ子こ国語

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