教科の視音楽点19作曲家:新実徳英 構成:音楽科編集部2024年、惜しまれつつもこの世を去った詩人・谷川俊太郎。谷川さんの詩は多くの作曲家に取り上げられ、合唱曲として広く歌われている。谷川作品との思い出を交えながら、作曲家・新実徳英がその魅力を語る。【引用文献】・ 谷川俊太郎:『みみをすます』福音館書店(1982)・ 谷川俊太郎:『こころ』朝日新聞出版(2013)〈歩くうた〉〈どきん〉〈ひとりぼっち〉けでも音楽が聴こえてきそうではありませんか。ドキドキしてきます。 谷川俊太郎さんに、たくさんたくさんのありがとう‼ を捧げたい。販売サイト楽譜@ELISEにて新実徳英作曲、谷川俊太郎作詞の合唱曲を販売中!ころ ころんところんだら/こころ ころころころがって…(略)…」「隠れているこころ/誰も知らない/自分でも気づいていないこころ…(略)…」(谷川俊太郎『こころ』/2013年 朝日新聞出版)などなど、6つの詩による7つの曲が次々に移り変わっていく。いわば心の物語で「合唱ミュージカル」と副題を付した。心について語り合うのは大人にだって難しい。ましてや子どもたちは自分たちの心について語り合うことはできない、と思う。なので、大人が(谷川さんが)心ってこんなかな? こんなだろ? と子どもたちに問うのである。これも谷川さんの本領発揮のテキスト。 谷川さんの詩と向き合うことでたくさんのことを学んできたと思う。その最たるものは「大切なことも易しい言葉で伝えられる」ということだろうか。漢字も漢語も哲学用語もいらない、ひらがなだけで伝えられるんだ、と実践してこられた。「音楽だってそうでしょ?!」という彼の優しい高めの声が聞こえてくるような気がする。 今年はひらがな長編詩「みみをすます」により児童・混声合唱+ピアノの作曲に取り組む。「みみをすます/きのうの/あまだれに/みみをすます…(略)…いっちょうねんまえの/うちゅうのとどろきに/みみをすます…(略)…」(谷川俊太郎『みみをすます』/1982年 福音館書店)。ほらネ、読んでいるだ谷川俊太郎さんのこと
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