教育情報誌 学びのチカラ e-na!! vol.8 (小学校版)
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29【問題解決の基礎】学習過程どの順序で学習活動を行うかを自己決定できる見方・考え方学習形態情報活用能力筋道をもって思考するなど、学習活動の質を上げられる他者と協働するなど、よりよい学習活動のための工夫ができる調べる、伝えるといった情報の取り扱いが、ICTの操作を含めてできるなぜ吹き出しなのか?吹き出しをヒントにした授業を充実させる問題解決の基礎を育む令和6年度版『小学社会3』 p.99-101令和6年度版『小学算数3上』p.39【参考文献】・ 谷口なぎさ:「児童の思考力・判断力・表現力等の育成に関わる教科書の記述の特徴」東京学芸大学学校教育選修卒業研究論文(2020)習では、探究ふうの穴埋め学習にすぎません。したがって、個別の知識・技能の習得を狙った従来の学習と大差はないと考えられます。問題解決のプロセスも含めて、自己決定して進めているかが重要です。 そこで紙面で表現しようとすれば、例えば「消防署の人たちは、どのような仕事をしているのだろう」といったことを吹き出しに書くことが精いっぱいになるのです。ただ、このように考えていけば、本来、吹き出しがなくても子ども自身で発案して学習を進めるべきとすら思うことでしょう。 教科書は、指導経験が豊富で力量の高い教師集団が作っています。したがって、「使えないから扱わない」ではなく、「このタイミングで、このような問いを追究するのか」といった事例やヒントくらいに捉えて、目の前の子どもが自分なりに追究できるように、実態に応じて指導していくことが重要になるかと思います。いずれ吹き出しに頼らなくても、子ども自身が追究を始めれば、かなりの水準といえます。こうした授業づくりを繰り返していくうちに、教師としての力量もアップすることでしょう。進む小学校や中学校では、どのような授業が行われているでしょうか。多くの教科で、単元や小単元ごとにレポートやプレゼンを行ったりする授業が展開されています。レポートも小学校高学年になれば、わずかな時間で千字程度を書く子どもも多くいます。それらが毎回繰り返されていけば、質も高まります。加えて、AI問題集を隙間時間等で自分のペースで行うことで、定期テストが半減されたりする、新しい授業の姿を見ることができます。しかし、こうした優れた実践も、そのスタートは吹き出しの重視だったりします。吹き出しの記述をよりよく理解して超えていく。そうして優れた授業が生まれているように思います。 それは、吹き出しといった方法でしか紙面で表現できないからといえます。大げさに言えば、思考力等は教えることができません。子ども一人一人が、自ら学習を進めて、自分たちで獲得していくしかないのです。自分で調べて、まとめて、伝えて、反論されて、また調べてみる。こうしたことを、自らが発案し、自己決定を繰り返しながら進めることが必要になります。 ワークシートにガイドされたり、表を埋めたりするだけの学 実際に吹き出しを見てみると、「これは使えない」と思うこともしばしばあるかと思います。子どもの実態等に応じていないなど、さまざまな理由があると思いますが、そもそも子ども同様に、授業は教師自身の発案で進めていく必要もありますから、そのまま使うことができないと考えるのも自然なことだと思います。図2実際に教科書に使われている吹き出しの例 「思考力・判断力・表現力等」を育むために、何をすべきかと問われれば、私なら主体的な問題解決活動の繰り返しと答えます。実は吹き出しだけに頼って指導するだけでは実現が困難です。主に以下の4点を「問題解決の基礎」として子どもに指導し、できるようにしていきます。あらゆる学習の基礎・基本に漢字や計算がありますが、同様に問題解決にも基礎・基本があります。漢字や計算と同様に、ここにも少し長い道のりがあります。 こうした取り組みを行い、一人一台端末の適切な活用が

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