QA33んがいます。保護者のかたから「学校行事への不安が強く、参加できないかもしれない」と相談がありました。早速運動会が控えていますが、どんな支援が望ましいですか? そこで、ここではAくんの行事への参加をサポートするにあたっての心がまえを伝授したいと思います。その1 日頃から、本人のペースを尊重する、嫌なことを無理強いしない、といった対応で、Aくんにとって安心感のある信頼関係をつくることが重要です。不安な行事も「この先生と一緒ならだいじょうぶ」と感じてもらえないと、差し伸べた手をつかんでもらえません。その2 「みんなと一緒」にこだわらず、本人とよく話し合い、その子に合わせた参加のしかたを考えましょう。また、音が苦手な子はピストル音やBGMのスピーカー音、感触が敏感な子は体操服や帽子、衣装など、その子の特性に対する配慮も忘れずに。その3 極端な場合、1年生であれば、行事を「見学する」とか行事の「舞台に立つ」だけでも十分褒めるに値します。その子自身の「目標」を尊重し、それを達成、もしくは近づいたことをしっかり評価し、次につなげていきましょう。 適切な支援のもと、学校行事をポジティブな経験にできれば、きっと大きな自信になりますよ! 1年生の担任です。クラスに発達障害の傾向があるAくはるえ先生予測や見通しを立てるのが苦手社会性・人間関係が苦手集中する もしくは運動等が苦手信頼関係をしっかりと築いておこうその子なりの参加のしかたを 一緒に考えようスモール・スモール・スモール・ ステップでいこうProfile金子晴恵。2002年より学習支援教室「アンダンテ西荻教育研究所」を主宰。発達障害などの子どもたちの学習指導、親や教師の相談等に携わる。著書に『はるえ先生とドクターMの苦手攻略大作戦』(教育出版 2010年)など。 運動会や学芸会といった学校行事は、楽しみばかりではありません。特に日本の小学校の場合、レクリエーションというより「練習成果の披露」という色合いがあるので、もしかすると『嫌い』という子もいるかもしれませんね。とりわけなんらかの発達障害の特性をもつ子にとっては、大きなストレスがかかるものです。 その背景をタイプ別に考えてみましょう。タイプ① 初めてのことや慣れないことへの不安が人一倍大きく、行事の前は情緒不安定になりがちです。練習で日々の時間割が変則的になり、日常のルーティンが崩れることにも苦痛を感じやすいです。タイプ② 「みんなで一致団結して頑張ろう!」という感覚がピンとこない場合があります。そういう子にとって、行事はモチベーションをもちにくく、自分がやりたいことではないのに、ここぞとばかりに集団行動を求められると、むしろ嫌悪感を覚えやすいです。タイプ③ 何度も練習が繰り返されることへの疲労感、自分にはできないかもしれないという不安や劣等感があるかもしれません。さらに、ネガティブな経験(失敗や先生からの注意、級友からの非難など)に過剰に反応してしまう場合もあります。
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