教育情報誌 学びのチカラ e-na!! vol.9 (小学校版)
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 本単元では、モルモット(ココア)の飼育を通して、動物の立場で考えることや命の大切さに気づくことを目ざしました。最初に「生きものはかせ」の目ざす姿を明確にしたことで、活動のゴールを意識しながら取り組む土台ができ、活動の振り返りや見直しにもつながりました。 9 週間の飼育では、子どもたちだけで世話を行い、遊び道具づくりや振り返りも取り入れたことで、ココアの様子を気にかけたり、気持ちを考えたりする姿が見られるようになりました。そうした関わりを重ねる中で、ココアを単なる「飼育する動物」ではなく、「命ある大切な存在」と捉える姿につながっていったと感じています。また、飼育員さんに世話の様子を定期的に見てもらったり、活動を価値づけてもらえたりしたことも、子どもたちの気づきや学びを深めるきっかけになりました。専門家から認められることで、子どもたちの学校飼育員としての自覚も高まったことは大きな成果です。一方で、後半には意欲低下が見られる子もおり、飼育が単なる作業とならないよう、達成感や楽しさを実感できる工夫が今後の課題です。それでも、ココアと過ごした日々は、子どもたちにとって命と向き合い、自分自身の成長を感じられる時間だったと実感しています。 活動が進む中で、子どもたちは「ものしりである」「新しいことを考え出す」という、自分たちで決めた生きものはかせの条件が達成できていないことに気づきました。そこでココアの遊び道具づくりに挑戦。最初は遊んでもらえず失敗しましたが、「ココアの気持ち」を考えながら改良を重ね、思いやり行動する力が更に高まっていきました。 ココアと別れた後、 9 週間の生活を振り返り、目ざしてきた「生きものはかせ」になれたかどうかを考えました。「最初は掃除や餌の準備に時間がかかったけれど、今では早くできるようになった」「みんなで相談して世話や遊び道具づくりをする中で、ココアの気持ちを考えられるようになった」と振り返り、一人一人が自分の成長を実感しながらココアとの生活を終えました。 別れが近づき、「ココアは何をしたら喜ぶか」を話し合い、最後にお別れ会を開催しました。手紙を読んだり、なでたりして感謝を伝えました。ココアが動物園に帰ることを寂しく思い涙する子もいれば、「仲間と暮らすほうが幸せかもしれない」と考え、感謝の気持ちを伝える子もいました。ココアの気持ちを想像しながら、別れの時間を大切に過ごしていました。21小原先生Teacher’s Commentココアが楽しく過ごせる工夫「生きものはかせ」になった自分を振り返ってココアへ 感謝のお別れ会5 ~ 8 w e e k s9 w e e k1 0 w e e k

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