デジタル時代の学び連載1.児童生徒が端末を扱う際のルール2.健康面への配慮3.端末・インターネットの特性と個人情報の扱い方 4.トラブルが起きた場合の連絡や問合せ方法等の情報共有の仕組み22 まずは自分・自校にぴったりな情報源を探しておくことが重要です。端末は全国に整いましたが、これまでの積み重ねなどから、その活用には大きな地域差が生まれています。例えば、情報活用能力に関する指導力や子どもの習熟度の差、ネットワークなどのICT環境の差などです。GIGAスクールに関して各所から提供される情報のレベルも多様ですから、学校・地域の実情に合った適切な情報を選ぶことが大切です。 よくわからない場合は、改めて最初からチェックしてみましょう。文部科学省のウェブサイト『StuDX Style』では、ごく基礎的な実践から発展的な実践まで掲載されています。これらを見ながら、チェックリストのように「できている」「できていない」と確認していってはどうでしょうか。特に、最初にあるコーナー「慣れる つながる活用」の「慣れる」は大丈夫でしょうか?「正しい姿勢」「はじめてのパスワード指導」「端末利用のルール決めと意識化」「個に応じた操作スキルの支援」「自分の情報は自分で守る」などです。 こうした基盤ができつつあれば、続いて「つながる活用」になります。『StuDX Style』では、「教師と子供がつながる」「子供同士がつながる」「学校と家庭がつながる」「職員同士でつながる」と四つの「つながる」が紹介されています。GIGA実践の中心は「つながる」です。高度な活用は、こうした基礎的な「つながる」実践が基盤になっていたり、それらを組み合わせたりして実現しています。子どもも先生も端末で自在につながることができれば、価値のある実践に結びつきます。また、「学校と家庭」「職員同士」のつながりも重要です。本当に便利なのはこのあたりで、学校の業務改善にもなりやすく、その効果を実感すればするほど、端末の家庭への持ち帰りも自然と行われます。ICT活用が進んでいる地域では、このようなつながりによる先生方の手応えが、高度な授業実践を生んでいます。GIGAスクールは授業のデジタル化のみならず、学校教育全体のデジタル化だと考えるのがポイントです。 2022年1月、文部科学省は事務連絡『やむを得ず学校に登校できない児童生徒等へのICTを活用した学習指導等について』を更新しました。その中で、「1人1台端末の利用に当たり、保護者等との間で事前に確認・共有しておくことが望ましい主なポイント」には、と書かれています。非常時のオンライン授業のためというより、日常的な1人1台端末の活用のためのポイントが示されています。コロナ禍の終わりが見えない状況では、臨時休業にも対応できる端末活用のルール等を定め、平時から運用していくのが効率的でしょう。授業も同じです。例えば、従来のように実物投影機で漢字練習帳を電子黒板に大きく映すより、子どもの手元の端末で見せた方が便利であると考え、同じ教室内でもウェブ会議システムによる映像配信を多用している学校があります。先生にも子どもにも、ウェブ会議の経験値が蓄積されていると、登校できない状況でも対応しやすくなります。 現場の先生方は、通常の校務における苦労も多いデジタル時代の学び年度始めに見つめ直すICT活用年度の最初に確認しておくことは?コロナ禍でのICT活用東京学芸大学准教授 高たか橋はし 純じゅん 東京学芸大学教育学部・准教授 博士(工学)。総合教育科学系教育学講座学校教育学分野に所属。独立行政法人教職員支援機構客員フェロー(2020年~)。教育工学、教育方法学、教育の情報化に関する研究に従事。中央教育審議会臨時委員(初等中等教育分科会)(2019年~)、文部科学省「教育データの利活用に関する有識者会議」委員(2020年~)、「ICT活用教育アドバイザー」(2020年~)、「GIGAスクール構想の下での校務の情報化の在り方に関する専門家会議」座長代理(2021年~)等を歴任。
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