一工夫で授業が変わる!~授業力を磨くアイデア~提言ー5特集ている学ぼうとする力を信じることが、Bさんと沖縄の関係を再構成することにつながったと考えます。 結果的に、令和の答申が重視する「一人一人の能力、適性等に応じ、その意欲を高めやりたいことを深められる教育を実現するとともに、学校を安全・安心な居場所として保障し、様々な事情を抱える多様な子供たちが、実態として学校教育の外に置かれてしまわないように取り組むことが必要である」と指摘されていることが具現化された事例といえます。 グローバル時代の今日、テレビ、インターネット、SNSを通じて、強烈な映像や情報がリアルタイムで飛び込んできます。中には、偽情報(フェイクニュース)、事実を混乱させる情報もあります。一方で、子どもたちは、断片的に目に入る情報や耳にする情報のみで、それぞれのできごとのイメージを構成しがちです。 例えば、ウクライナ情勢については、正視できない映像や痛々しい被害状況がリアルタイムで飛び込んできます。子どもたちの中で、共感する力が強く、感性が豊かな子どもは、一つ一つを自分事のように考え、悲壮感や無力感に襲われることもあると思います。一方で、全く関心を示さない子どもや「ハリウッド映画のようだ」と他人事のように思う子どももいることでしょう。 このように考えると、持続可能な社会の創り手の育成に向けては、子ども自身と学ぶ対象にどのような角度から向き合わせるか、つまり、子どもとヒト・コト・モノとどのように出会わせるか、またどのように興味・関心、問題意識をもたせ、探究活動を充実させるかが重要になります。そのためにも、持続可能な社会の創り手の育成に向け、教育活動の中核に人間性の育成を位置づけるべきと考えます。その上で、子ども一人一人の共感する力や、感受性、思いやりの心に応じた資料・教材の提示や発問の工夫等を吟味することが必要で引用文献釜田聡「グローバルセミナー『おきなわの心-14歳のオキナワ-』」「『総合的な学習』単元ベスト50」教育開発研究所、2002す。そうすることが、今の教育で求められている個別最適な学びを保障することにもつながります。 持続可能な社会の創り手の育成に向け、今できること、私たちと子どもたちができることから進めていきましょう。どんなに小さくても、一歩踏み出すことが、持続可能な社会、持続可能な地球を創ることにつながると信じています。【著者プロフィール】釜田聡(かまださとし)新潟県生まれ修士(教育学)、上越教育大学大学院教授明治大学卒業、上越教育大学大学院修了。新潟県公立中学校教諭、上越教育大学附属中学校教諭。上越教育大学学校教育実践研究センター教授、上越教育大学国際交流推進センター長、上越教育大学大学院学校教育研究科教授。日本国際理解教育学会常任理事、日本教科教育学会常任理事、日本学校教育学会理事。著書・編著に、「上越発『総合学習』のあゆみと展開」(三恵社)、「国際理解教育を問い直す」(明石書店)、「『上越教師の会』の研究」(学文社)などがある。また、教育出版「中学社会」、「小学社会」の著作者でもある。4. 今、自分にできることからおわりに
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