❹単元のまとめとして、一つのプレゼンテーションを創ることは、教員が個々の進捗状況がわかるだけではなく、何度も確認しながら納得のいくものができる過程こそが主体的な学びといえ、さらに新たな疑問を見つけることにつながると考えられます。❶「観察」する場面で一人一人が細かく疑似体験でき、気づいたことや分かったことを直接タブレット端末に書き込めることで、主体的な問題解決の活動となり、正確な記録となります。そのため、特集❷協働的な学びの後、結果を「まとめる」段階では、さらに写真に文章を加えたり、表にまとめたりすることができるとともに、今までの学びをスライド化して、プレゼンテーションとして編集することで、整理しやすくなっていました。学びが広がる授業デザイン教科の視点 理科どさまざまな気づきがありました。提出後、全員で共有したことで、地層の凸凹や縞模様の色を確認でき、次の「岩石のサンプル調べ」につなぐことができました。 配布した岩石は、既習の砂岩と泥岩からなるもので、出っ張っている部分は砂岩で、そうでないところは泥岩であると、生徒の意見から確認することができました。 考察をする場面では、教科書の例を参考にスケッチをしながら、ワークシートにまとめさせ、「砂岩と泥岩が交互に重なる」「泥岩が崩れやすいため、砂岩がごつごつしている」「砂岩と泥岩からできているので、海や湖で堆積したものだろう」などの考察がされました。そして、作成したワークシートを写真にとり、ロイロノートで提出させ、発表者のワークシートを全員で共有しながら話し合い、結論をまとめることができました。 下図は教育出版の中学理科の教科書にある[探究の進め方]の一部を抜粋したものです。この流れに沿って、本時の授業の考察を行います。採取した岩石の観察スケッチと考察 今回の実践で特筆すべきことは、本時以外の授業でも生徒がタブレット端末を文房具として扱っていたことです。そのため、ハイブリッド的に直接体験とデジタル体験の「いいとこどり」の授業ができていました。そして、忘れてはいけないことは、授業者がICT機器の活用について、学習内容と照らし合わせ、有効な場面を見極めていたことと、露頭の写真は指導者が意図的にトリミングしたり、気づかせたい部分に合わせて写真を撮影してきたりと準備に十分な時間をかけていたことだと考えます。 さて、昨年度まで私が勤めていた中学校では「技術科」を中心に、総合的な学習の時間を含め、教科横断的にロボットプログラミングについての実践をしました。内容は「書店で活躍できるロボットをプログラミングしよう」で、単にプログラミングを学ぶのみならず、プログラミングした内容の紹介文を書いたり、コンテストを開き、書店の店長さんに評価していただいたりと社会実証的な単元としました。詳しくは、紙面の都合上紹介できませんが、さまざまな方との打ち合わせで教師は多くの時間を割いたことは容易に想像できると思います。今後、各学校のカリキュラムマネジメントにおいて、社会とつながるような教科横断的な単元を、理科を中心に据えて実践することができれば、生徒が新たな疑問や解決策を見つけることができ、さらに深い学びに向かうことができると考えています。情報を共有する場面では協働的な学びが活発化されました。具体的には、はじめは地層の特徴に気づくことができない生徒が、他者の気づきを知ることで、自分の観察記録にとり入れることができていました。❸「考察」の段階では、一人一人が編集したものを教員が集約し、生徒に紹介、共有することで、個々が自分の考えとの違いも含め、さらに考えを深めることができていました。15ー考察おわりに
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