教育情報誌 学びのチカラ e-na!! vol.3 (中学校版)
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の視点教科特集深い学び対話的主体的学びが広がる授業デザイン教科の視点英語ー 過去のモデル図1 学校の情報技術モデル 教師のみが経験や知識をもち、教師を介して行われる学びの図式が、自分自身の中に根深く、当然のごとく存在していたからです。もちろん、現在の授業スタイルとしては、1人1台端末を活用し、生徒同士の交流を取り入れた授業を実践していますが、「教師が、知識を丁寧に教える=与えること」に注視してしまい、生徒が能動的に学習に参加する「学習者中心」の手立てや授業構成に工夫が足りないと感じたのです。 予測困難な時代を生き抜く子供たちに必要な資質・能力の育成に向け、これまで当然とされてきた授業観や指導観を大幅に変革しなければならないと、改めて実感しています。特に教師の指示がなくても自ら考え、行動ができる「自立を促す教育」への意識改革が必須です。 岩見沢市では、教師の授業観、指導観を転換する手段として、市内で統一して「教えて考えさせる」授業を基盤とした授業づくりに力を入れています。光陵中学校では、生徒の「問い」を大切に紡ぐ、学習者中心の『生徒と創る授業』を目指しています。その取り組みをご紹介します。RYTKを活用して生徒の様々な考えを引き出し、生徒と共に知識を創造することがねらいです。教師の授業スキル(対話を育むための言葉) R(連結)「○○さんの考えにつながる人はいますか」 Y(要約)「もう少し詳しく言えますか」 T(追加)「似ているところはありますか」 K(確認)「○○さんが言いたいことがわかりますか」 また、全ての学習活動においてペアや4人グループによる対話的・協働的な学習場面を設定し、様々な「気づき」や「発見」を互いにアウトプットし、異なる考えを組み合わせて課題解決に導きます。 授業の後半では、応用・発展した内容の深化問題に挑戦します。「脳がちぎれる思考」をテーマに、本時の学習や既習の知識を関連づけ、様々な見方・考え方を働かせて解決策を生み出す思考の訓練を行います。この思考の訓練こそが、経験のない未知なる状況においても対応できる資質・能力の育成につながると考えています。生徒未来のモデル 1人1台端末の導入により、学びの個別最適化や効率化が実現し、ICTは本校の教育活動には欠かせないものとなっています。授業では、対話的・協働的な学習場面のツールとして、ロイロノートを使用していま図2 「教えて考えさせる」授業を基盤とした『生徒と創る授業』基本型・要領を得た説明(15分間)・ペアやグループで理解確認・対話的、協働的な学習 (わかったことを教示、説明)・考えがいのある深化問題 (脳がちぎれる思考)・深化問題を解くために調べる・対話的、協働的な学習 (協働して解決策を生み出す)・学んだことは何か・考えが変わった出来事は何か・これまでと比べてどう違うか・他の場面で活用できないか※粘り強さ、調整力、教科横 断的な視点による振り返り18 先日、ある講演会で提示された資料が脳裏に焼きついて離れませんでした。ブランソン(Branson)が提起した「学校の情報技術」の過去・現在・未来の状況を示したモデルを見て、ハッとしたのです。教師経験知識経験教師生徒生徒生徒現在のモデル 本校の授業スタイルは、教師による一方通行の授業ではなく、教えることを短縮・スリム化し、生徒が考え、活動する時間を十分に確保することに重点を置いています。今年度は「教え過ぎないこと」をキーワードに、生徒に「問い」や「疑問」を多く抱かせ、教師はファシリテートに徹する指導観に転換中です。知識教師生徒知識データベースエキスパートシステム段階課題◎○-・必然性や必要感のある課題・生徒の「問い」「疑問」を交流説明○○-・簡単な「問い」を調べるまとめ○◎-深める○◎◎振り返り◎--具体的な内容はじめに光陵中の『生徒と創る授業』の考え方多様な学びの支援 ~ICTの教育効果~生徒の「問い」を紡ぐ『生徒と創る授業』北海道岩見沢市立光陵中学校教諭 相あい河かわ 範のり子こ英語

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