教育情報誌 学びのチカラ e-na!! vol.3 (中学校版)
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特集学びが広がる授業デザイン教科の視点 英語図3 ロイロノートによる円滑な学習支援ループ徒の声から出てくるようファシリテートします。このように1学年では、「課題解決の方法」や「学び方」を支援することから始めています。この取り組みを通して、教科書の本文に着目する生徒が増えるようになりました。チャットで使用できそうな「相づち」や「感想を述べる表現」をまとめる、教科書にアンダーラインを引く、デジタル教科書で発音を確認するなど、自ら学びに向かう姿が生まれています。教師による指示待ちからの脱却が始まっています。 簡潔な説明後、白紙のワークシートを配付します。生徒は、教師から得た知識だけではなく、様々な情報源から「もっと知りたい」ことを調べ、新たな発見を追記してまとめます。イメージマップを取り入れて整理する、授業では扱わなかった例文を作成するなど、教師の想像を超える工夫が盛り込まれたワークシートが完成します。その後、ペアでワークシートを見せ合いながら、自分の言葉で理解したことを説明します。生徒が作成した「白紙のワークシート」の例 ロイロノートで全員のワークシートを共有した後、数名の代表者に説明をしてもらいます。その後「○○さんの発表で良かったところはどこですか?」などと、生徒の声を引き出します。まとめ方の工夫や発表態度で参考になったことなど、生徒の気づきを紡ぎます。驚いたことは、次のワークシートを配付した際、「今日はメモをたくさん取ろう。」「前回よりも詳しくまとめよう。」などと、生徒自ら1時間の「課題」と「ゴール」を設定し、学習に参加しようとしていたのです。生徒は、新たな指導観へのヒントをたくさん与えてくれます。知的好奇心を揺さぶり、自然に問いが生まれるような仕掛けを提供し、ファシリテーターとして生徒の声を紡ぐことを今後も大切にしていきます。そして、生徒と共に創る授業を楽しみたいと思います。19学習者教育活動の質の改善  個別最適な学び教員のゆとり確保す。授業内での「回答の共有」「深化問題の調べ学習」に加え、授業後には、「振り返り」や「提出物」に助言を添付して返却するなど、ロイロノートによる円滑な学習支援が日常化しています。 また、学校に登校できない全ての生徒を対象にした「オンライン学習」や、個別最適な学びの一助として「AIドリル」も導入しています。今後も誰一人取り残さない多様な学びの支援に向け、ICTを効果的に活用していきます。 自立した学習者を育む必然性が理解できた今、英語科における生徒の「問い」や「疑問」を大切に紡ぐこと、教え込みではなく、生徒の学びを支援することを以前よりも心掛けるようになりました。実際、生徒は教えられて学ぶときよりも、自ら学びたい、知りたいという気持ちで学びに向かうときの方が、目が輝いていると感じています。 『ONE WORLD』の1学年Lesson 2では、友達とチャットができるようになることが目標です。チャットのテーマ「What is your favorite color?」を提示した上で、生徒に1分間で英単語を調べる自力解決を促します。辞書を引く生徒、教科書のワードリストを活用する生徒、端末を使用する生徒など様々です。 1分後、黒板を開放します。生徒は自分が知り得た情報を板書します。indigo(藍色)、earth(土色)など、覚えたての英単語を得意げに書いている生徒、黒板の表現を参考にして語彙を増やしている生徒もいます。次に、自分の考えを述べる表現を考えます。 生徒の「問い」「疑問」「気づき」「知りたい」「学びたい」が教室中に渦巻きます。 教師は、生徒のつぶやきを紡ぎ、学びのヒントが生指導者「課題提出」しやすい「改善点」がすぐわかるMy favorite color is blue.「海のようだから」ってどう言うのかな?「~のように」は、どう表現しますか?説明できる人はいませんか?likeで表現できたはずです。○○さんの考えにつながる人はいますか?「課題回収」しやすい助言を添付し「返却」ー「英語科」新たな指導観への挑戦白紙のワークシート ~山本崇雄先生提唱「教えない授業」を参考に~

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