特集学びが広がる授業デザイン教科の視点 道徳写真① 担任用「道徳ファイル」 1ページめには、ファイルの中身と授業前後にすべきことを載せました。写真② 実践記録をメモした略案。自分のためだけでなく、次に同じ教材を扱う先生のためにという思いもこめられています。 先生がたが略案をとじ、記録し、蓄積するために「道徳ファイル」を配付しました。(写真①) 「道徳ファイル」は年度末に回収し、学年ごとに1冊のファイルにとじます。(写真②③)職員室内には「道徳コーナー」を設置して、過去に扱った教材や他の教科書会社の書籍とともに「道徳ファイル」も保管しています。これまでの4年間の実践を見ることができ、実践した授業者に直接助言をもらうこともできます。 職員室では、学年の枠を超えた道徳に関する会話が増えました。また、教育実習担当になった若い先生が、一人で抱えこまず学年職員や道徳教育推進教師、教務主任の協力を得ていました。担当教師の負担軽減と、実習生への適切な指導につながっているといえます。 年度初めに生徒に行った「道徳は好きか」というアンケートからも成果と課題を読み取ることができました。 「好き」の理由には、「友達の意見からたくさんの考え方に気づくことができる」「ふだん考えないことをじっくり考えられる」「どんな考えでも認めてくれる時間は他にはない」というものがありました。道徳科ならではの「答えが一つではないこと」は、「好き」「嫌い」どちらの理由にも見られました。このことから、先生がたが多様な意見を大切にしながら授業実践を積み重ねてきたことがわかります。 また、「嫌い」の理由からは、「授業のテンポが遅い」「話し合いが進まず不満」という、授業展開に不満をもつ生徒がいること、「何を質問されているのかわからない」「質問が難しく答えが出しにくい」という、発問の意図が届かないまま授業が進み、意欲をなくしている生徒がいることもわかりました。生徒の実態に合った教材や発問、ファシリテーターとしての教師の力量向上が課題といえます。 遠回りに思えるかもしれません。全校体制で取り組もうと声をあげることが難しい状況もあるかもしれません。しかし、生徒が「道徳科の授業が楽しみ」「結局どっちが正しいのか、まだわからない」「これからもっとこうしたい」「あんな生き方、憧れる」と目を輝かす姿を想像しましょう。きっと多くの先生がたは、協力してくれるはずです。21写真③ 板書の画像は、実践記録としてわかりやすく、実践した先生に質問や相談がしやすくなります。成果と課題ー情報の蓄積と共有のための環境整備先生も生徒も授業を楽しみにできる学校にしよう
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