必見!! 合点!! 著作権! 私たちは、人が作り出したさまざまなものに囲まれて生活しています。その中で、文章や音楽、映像など「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」(第2条)が「著作物」とされます。ここでの「思想又は感情」は「考えたこと」程度、「創作的」は「その人なりの個性」程度の解釈で、難しいことを言っているものではありませんが、著作権は「表現」にかかります。形の有無を問わず、役所に登録するなどの手続きも不要です。なんとなく思いついた鼻歌、子どものお絵かきなど、何かを創作すればそれは「著作物」となり、それを作った人は「著作者」です。著作物を他の人が勝手に使わないようにできる権利が「著作権」で、その権利をもつ人が「著作権者」なのです。 小説を例に考えてみましょう。小説そのものが著作物、書いた作者が「著作者」であり「著作権者」です。作者が亡くなって家族に著作権を譲ったとすれば、その家族が著作権者です。小説の読者は、印刷(複製)された本の形でその小説を読みますね。著作物の利用は多くの場合、この「複製」というものになります。買った本の所有権は読者にありますが、中身の小説の著作権は「著作権者」にあります。「著作権」は英語では「copyright」、まさに「複製の権利」です。 他の人が作ったものを借りるときには、作り手(作ったものを使わせる権利をもつ人)に許しを得るのが社会の基本中の基本ですね。ところが、実際に著作権者に許諾をとりたいと思っても簡単ではない場合が多くあります。作り手の個人情報は、簡単にはわ30からない場合が多いです。また、音楽や動画など、一つの著作物に対して多くの人が権利者として関わっている場合もあります。例えば作詞者、作曲者、編曲者、演奏者、出演者、レコード会社、楽譜制作者、動画制作者などそれぞれに許諾をとる必要があり、手を出しにくいと感じてしまうでしょう。 授業の場面を想起すると、教科書の文章を、板書する、ノートに書き写す、ワークシートに転載するなどは全て、著作物を「複製」して利用していることになります。声に出して読む、楽譜をもとに歌ったり演奏したりするなども、著作物の口述や演奏という別の権利が関わります。先生も、生徒も、です。いうなれば学校の授業は、著作権と切り離しては成り立たないといっても過言ではありません。 ではその都度、著作権者に許諾をとらなくてはならないのでしょうか。……到底追いつきませんね。そこで、学校の授業など教育に関しては、著作権者の許諾を得なくても自由に著作物を利用できるようになっているところが多くあります。 著作権法では、その目的として「文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与すること」(第1条)とあります。つまり、著作者の権利を守ることと、利用者の利便性とのバランスが大事なのです。ここで忘れてならないことは、授業で自由に使えるとはいえ、利用する著作物から作った人の権利がなくなっているわけではないこと。授業での利用にも、場合によっては許諾をとるなどの必要があるので要注意です。本記事が、学校を中心に教育の場における著作物の利用について、先生がたのご判断の一助になれば幸いです。著作権とは?
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