A 学校の授業では、一定程度、自由に著作物を使うことが認められています(第35条)。通常の対面授業であれば、教科書や一般書籍、新聞・雑誌などのコピーを配る、ワークシートに使う、生徒が自分たちの作品に使う、それを撮影したり展示したりするなども手続きなく可能です。ただし、使えるのはあくまで著作物の一部です。学校で採用している教科書のほかは、自由に使えるものは原則として「著作物の一部」に限られます。本の全ページや楽譜の1曲全部をコピーすることはできません(オンライン授業や学習支援アプリを使った授業では別の要素もあります)。 次のような場合も著作物を自由に使えます。○私的使用のための複製(第30条) →「家庭内」に準ずるごく少人数(「10人以下程度」と考えられます)の中だけで使う場合。複製は自分で行う。A 多種多様な著作物に関わる著作権の許諾処理は、大変手間もかかりますし、許諾をとる必要があるのかどうかも判断がつかないこともあります。 そのような場合の問い合わせや許諾手続きについて参考となるところを、以下に紹介します。○一般社団法人 授業目的公衆送信補償金等管理協必見!! 合点!! 著作権!※Q&Aで紹介した各団体などへのリンクは、教育出版ホームページに掲載します。 ※本記事中、条文番号は著作権法のものを示しています。○写り込み(第30条の2) →写真の背景などに他の会(SARTRAS) 2020年度から始まった授業で著作物をインターネット上で使うなど「公衆送信」での利用について、その補償金制度の管理をする団体です。*改正著作権法第35条運用指針(令和3(2021)年度版)→学校での著作物使用の具体例などが解説されています。*追補版(2021年11月9日公表)→運動会などでの公衆送信による著作物の使用について解説されています。著作物が写り込む場合。○図書館などでの複製(第31条)→公共図書館などにおいて。学校図書館は対象外。○引用(第32条) →自分の論が主で引用物が従、引用部分が区別されている、改変禁止、出所明示、利用する必然性がある、などの条件がそろっている。○営利を目的としない上演や演奏など(第38条)→非営利、無料、無報酬(交通費など実費は可)。○著作物ではないとされるもの(第10条ほか)→ありふれた表現、事実・データ、アイデア・着想、題名・名称など。○著作権法の目的とならない著作物(第13条)→法律・国や地方公共団体による通知、裁判記録など。 そのほか、詳しくは次のサイトも参照してください。○著作物が自由に使える場合(文化庁ホームページ)*学校教育と著作権→授業での公衆送信を伴う著作物の利用に関する解説資料などがあります。○一般社団法人 教科書著作権協会 教科書に掲載されている著作物を教材や研究会の資料に使いたい場合の窓口となっている団体です。○公益社団法人 日本文藝家協会 作家などの著作権の一括管理をしている団体です。○一般社団法人 日本音楽著作権協会(JASRAC) 国内外の楽曲の著作権を一括管理している団体です。インターネットで楽曲使用の手続きができます。○教育出版ホームページ 弊社の音楽教科書や教師用指導書CD音源の利用については、「ホーム > 教科書・教材 > 中学校 > 音楽 > お知らせ > 2021年05月18日『音楽科教科書・指導書の著作物利用Q&A』を更新しました。」を参照してください。31Q 許諾をとらずに 著作物を使うことはできるの?Q 著作物を使いたいとき、 許諾の手続きなどはどうしたらよいの?次号では、「公衆送信」について考えてみたいと思います。
元のページ ../index.html#31