教育情報誌 学びのチカラ e-na!! vol.3 (中学校版)
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の視点教科特集時1スピーチテーマ「未来の自分がどうありたいか」を2学びナビに示す「関係づける」ができているか、級友へ意見を伝える。それをもとに下書きを行う。3既習事項から自らの課題を見いだしたりグッドモデルを共有したりしたことを踏まえ、各自練習する。4スピーチ発表をグループで行う。名言と主張が関係学びが広がる授業デザイン教科の視点国語ー 6 1年教科書p.47掲載の「内容を整理して説明する」(話す聞く)を教材として、中学1年生に「情報を関連づけて考えることができるようにする」ことを通して、論理的思考力の育成につなげることをねらいとした授業の実践を報告します。 本教材の学びナビ「関係づける」を読み、国語に限らず総合的な学習など色々な場面で活用できることを説明しました。次に、教科書のスピーチ原稿を音読し、全体の見通しをもたせました。そして、 「関係づける」の図に考える順番(①未来のなりたい自分②現在の自分③課題④名言・経験から得た言葉)をスライドで提示しました。 ここで、「関係づける」を理解しやすくするため、既習事項を踏まえた指導を入れました。直近の教材「資料から得た根拠をもとに意見文を書く」(p.41)で、三角ロジック【根拠(事実+理由づけ)】→【主張】を活用しました。 「関係づける」の図を細分化したものとして、三角ロジック(図1)を示し、教師が作成したスピーチを段階的に示しました。そして、「『そうはいっても、頑張れない』と聞き手に共感してもらえなかったら、どうすればよい?」と投げかけました。この名言はiPS細胞研究でノーベル賞受賞者の山中伸弥先生の言葉であることを伝えると、生徒は歓声をあげました。どんなことを成し遂げた、誰の言葉なのか、説明を加えることで、先ほどの言葉の印象はプラスに変わることを全体で確認しました。 名言集は65冊用意しました。高校の司書に相談して名言に関する書籍を準備していただく一方、地元の図書館で児童書のコーナーから、「論語」などの解説書や偉人伝の名言集などを借りました。授業1週間前から廊下に並べ、朝の読書の時間でも読めるよう環境を整えました。「めくってみて、ちがうなと思ったら、取り替えてもよいよ」、「目次や索引には○○に悩んでいる人へ等のテーマ別の言葉が書いてあるから、探しやすいよ」と声かけをし、授学習活動主張理由づけ・学校図書館司書との連携、地域の図書館を活用する・目次による検索を説明する・自己の体験を想起させる事実努力しても、すぐ結果が出なくてやる気をなくしてしまう。図1 次に、図1の三角ロジックで、理由づけに別の名言を示し、スピーチを続けました。生徒は納得した表情で聞いていました。そこで、名言の順番を入れ替えたら印象はどう変わるか?と問うと、「このままの方がいい。」と口々に発言しました。このスピーチを通して、相手の反応を予測して説明するうえで、名言の背景を加えたり順序を考えたりすることが大事だと確認することができました。 最後に、本教材のテーマ「未来の自分がどうありたいか」を考えるうえで、初めて先輩になる2年生の自分、高校卒業後の自分、成人の自分など、何年後の自分をイメージするかを問いかけました。そして、それと比較して今の自分はどうか、何が足りないかを課題としてあげてみることを促しました。ノートに、なりたい未来の自分、今の自分、課題の順に書き出したうえで、名言探しを始めました。努力することそのものを楽しめる人間になりたい。何が良いのか悪いのかすぐにはわからない。一喜一憂せず淡々と頑張るしかない。知り、それに合った名言を選ぶ。づけられていたかを話し合う。・前教材の意見文を書く手法を再度活用する・図解した具体例を提示する・2つの名言を紹介する趣意説明をするはじめに 実践のポイント① 「考えるときの視点を明確にする」(1時間め) 実践のポイント② 「情報を集める環境を整える」(1・2時間め)「学びナビ」の有効活用!で論理的思考力を育む国語の授業茨城県立水戸第一高等学校附属中学校教諭 矢や崎ざき 寛ひろ子こ国語

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