教育情報誌 学びのチカラ e-na!! vol.3 (中学校版)
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ー7特集学びが広がる授業デザイン教科の視点 国語図2 名言と課題がずれている、聞いただけでは関係づけられているか意味が伝わりづらいなど、④の欄にコメントを入力し、互いに検討しました。この学習は経験済みなので、生徒はスムーズに取り組むことができました。スプレッドシートのおかげで、名言が見つからない生徒、関係づけることに苦慮している生徒や、関係づける事への齟齬がある生徒をいち早く見取り、個別指導をスムーズに行うことができました。コメントをし合った後、再度自分の三角ロジックを検討し、この名言で本当に伝わるか再考する時間を取りました。(図2はコメントを受け、名言を入れ替えたもの。)納得した生徒は、スピーチ原稿に書き起こします。構成は、既習事項の「序業内でも読む時間をとりました。インターネット検索も可としましたが、まずは本から探すという学習経験を優先しました。また、自分が課題に関して悩んでいるとき、家族や友達など身近な人からかけられた言葉を思い起こすよう促しました。 原稿を書く前に、三角ロジックがずれていないか、生徒同士で共有七箇条(筆者が考えた7観点(1)ずれ(2)比較(3)反例(4)相手(5)目的(6)限定(7)引用)という観点で確認しました。 選んだ生徒は、「選んだ名言が本当に課題と関係づけられているか?」を考えられるよう、①事実(課題)②理由づけ(名言)③主張(未来の自分)と、三角ロジックに合わせて、スプレッドシート(図2)に記入させました。(実際のレイアウトは項目が横並びです。)論、本論、結論」にまとめるよう指示しました。教科書のスピーチ原稿を例にあげ、序論(課題)、本論(名言)、結論(未来の自分)を確認し、仕上げました。 まず、スピーチ練習前に、良い(悪い)話し方・聞き方、をグループ、全体で確認しました。次に、前回のスピーチ学習での自身の課題を振り返り、自分はどこに気をつけるべきかを考えさせました。練習の段階から、動画撮影をして聞き返す時間を確保しました。 スピーチ原稿が書けたら、聞き手がどんな質問をするか、5W1Hで予想させましたが、黙読だけでは難しい生徒もいます。そこで、話す練習を兼ねて撮影したスピーチ動画を耳だけで聞かせました。耳だけで聞くと伝わりづらい言葉があること、名言の意味が引用しただけではわからないことなどに、生徒は気がつきました。また、目線がどこにあるかを確認させました。名言を覚えるのが意外と難しく、思い出そうとして下を向いたり相手の反応を見る余裕がなかったりすることが予想されたので、名言を書いたフリップをスピーチ中、提示することにしました。相乗効果として、フリップが相手に見えるかどうかを考えることにつながり、そこで相手の反応を見るきっかけになりました。 「初めて名言集を読んだが、いろいろな気づきがあった、もっと読んでみたい」との声が複数聞かれ、朝の読書で名言集をすすんで読む姿が見られました。スプレッドシートでの共有をきっかけに、授業時間に止まらず、名言を再度選び直すなど、自主的に学びに取り組んでいました。 スピーチを聞き合う際のコメントでは、「もう少し状況説明をした方がいい」、「作者の背景が聞けたからこそ説得力が上がった」という「関係づける」視点で述べている一方、間の空け方や項目立てて話せているか、既習事項での視点で述べられているかに着目するなど、聞く視点を身につけていることが実感できました。・三角ロジックをずれや比較、反例の視点で共有する・スプレッドシートを活用し、その場で共有する・スプレッドシートを活用し、教師もコメント入力する好きなことや興味をもったことには集中できるが、苦手なことやあまり興味をもっていないことには集中できない。苦悩を突き抜けて歓喜へ。(ベートーヴェン)注:訂正後の名言。集中力こそ、実力以上の力を発揮できる特効薬。(森鷗外)①課題②名言③主張苦手なことでも一つのことに集中して取り組めるようになりたい。集中できないことに対して、全力を傾けてひたすらそのことだけを考えるというのはできるのだろうか?少し課題と名言の関係が微妙だと思う。発明家の名言をどのような意味で捉えているのかを明確にして、書き直すとよいかもしれません。④コメント・良い(悪い)話し方、聞き方の条件を話し合う・録音したスピーチを聞き、聞きづらいところや質問されるところを予想する・名言のフリップを用いてスピーチする 実践のポイント③ 「既習事項やICTを活かし、共有する」(2時間め) 実践のポイント④ 「スピーチを自ら聞き直す」(3時間め)学習を振り返って

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